弁慶記 第7話
帰還
三郎の前に突然、ルーシー達が現れる。
たえは、母の亡骸を抱えてまだ泣いている。
「生き残ったの、たえだけ・・・」
広がった星空から、里の皆の亡骸が浮かび上がる。
里の皆が集まり、家族達が集まり涙を流す。
アインとツヴァイは、泣き止んでいるがその眼には涙の跡が残っている。
「姐さん、こいつらを褒めてやって下さい。
皆、前を向いて戦ったんでしょう。」
里にも僅かばかりの残っていたものが言う。
「・・・ああ、弔うのを私達も手伝う。」
「だが、その前に少しやることがある・・・」
「アイおねえちゃんに、ケロちゃんサポート、ヴァイおねえちゃんにクロちゃんサポート。
プログラム・ルーシファー起動、各ドローン指揮権おねえちゃんに・・・」
「ありがとう、ルーシー。」
二人の右眼が、紅く輝いている。
二人の姿が消える。
同時刻、鎌倉と奥州二つの地で陸と空それぞれのドローンが急襲する。
鎌倉では無数の陸上ドローンが銃を撃ち、ミサイルを飛ばして、兵達をなぎ倒す。
「な、何事だ。」
慌てふためく頼朝達・・
突然、将たちの頭部が、対人用ドローンで吹き飛ばされ、頼朝の首が斬り飛ばされる。
平泉では、空からの攻撃で、奥州17万騎ことごとく機銃掃射、ミサイルの嵐、対人ドローンに倒されていく。
そして、プラズマシューターの光で館が包まれ、消し飛ぶ。
数時間後、二人が頼朝と、泰衡の首を持ってきてみんなの前に置いた。
「北条は残してきたから、おそらく頼朝は影武者を立てるだろう。」
「三郎、北条とはなるべく戦わないで、あんちゃんが、風魔の小太郎がいるから。」
「分かった。」
「そろそろ、お別れ。」
たえは、ルーシーを抱きしめる。
「元気でね、ルーシー。」
「じゃあね、バイバイ。」
いつの間にかアインとツヴァイ、弁慶はいない。
そして、ルーシーが星空に包まれると姿を消した。
たえは、
「ルーシーに幸多からんことを・・・」
エピローグ
それから、北条と伊賀は争うことは遂に無く、逆に長くある程度の交流が出来る事となる。
伊賀と風魔には共通の不文律が存在する。
いつの日か、銀の髪、紅い右眼をしたルーシーと言う少女が現れたら、決して争わず、助けになる事。
伊賀は織田信長に、風魔は豊臣秀吉にそれぞれ壊滅の憂き目にあうものの、ひそかに協力し合い、全滅を免れる事となる。
初代百地三太夫と二代目風魔の小太郎は、両名とも里では死亡扱いではなく、行方不明とされている・・・
言い伝えでは、その時に地面に星空が広がったと伝えられるが、真相は定かでない。
お終い。
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