短編集

小川初録

短編集 平和 一

 午後の初夏の日、晴れて夕方を迎えるがまだ陽が高く、遠くに目をやると蜃気楼が現れそうな空気の歪みが見える。


 住宅地には自分の庭で畑作業をしている老人がのんびりそれをしている。

 彼は行き交う近所の顔見知りの主婦と挨拶をかわし天気の話題を軽く話す。



 少し離れた空き地からは子供たちの遊び声がきこえる。この中に時間とともに年長の子供たちが加わって行く。

 時々幼児の泣き声がするが、何人かの年長の子が慰めておさまる。



 通りの向こうには年老いて太った猫がゆっくりとゆっくりと道を歩いている。時々大きなあくびをしながら。


 

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