インタビュー
――――それでは、このお仕事でのやりがいや、一番嬉しいことは何ですか?
「そうですね、それはもうなんといってもファンの皆さんの笑顔ですね。やはり自分を推してくれる人が喜んでくれるのが一番ですよ。温かい声援やコメントを頂くと、これまでの努力が報われてよかったと感じますし、晴れ晴れとした気持ちになります」
――――なるほど。確かに応援の声というのは励みになりますよね。では逆に、難しいことや気をつけていることはありますか?
「ファンに喜んでもらうためには、その期待に応えないといけませんから。活躍の場をいただき、そして信頼してもらっている以上、失敗は許されない。いつでもイメージトレーニングや練習は欠かせません。一つ一つのお仕事に命を懸けるつもりで、真剣に取り組んでいます」
――――フォロワー数100万人超えですもんね。そのストイックな精神の賜物でしょう。
「ははは(笑) 多くの人に見てもらえて、嬉しいといいますか、恥ずかしいといいますか……。私は本来あまり表に出るような人間ではないんですけどね(笑)」
――――なんでも、特別なサービスが大好評だとか。
「サービスというか、仕事の様子を動画に収めているだけなんですけどね。これが特に喜んでもらえるんです、需要が多いみたいで。他の同業者の人たちはあまりやっていなかったので、チャンスだと思って始めました。やはり時代に合わせていかないと」
――――今日は特別にそのお仕事の様子を近くで見せていただけるということで。
「はい。でも記者さんにとってはそんな面白いものではないですよ(笑)」
――――いえいえ、楽しみにしてます。実はね、私のそのフォロワーの1人なんですよ。なので今日はずっとワクワクしていました。さて、それでは現場に移動しましょうか。
「ここで大丈夫ですよ、今から始めるので。ちょうどご依頼をいただいていたんです、不倫した夫を殺してほしいと。あなたの奥さんから」
――――え?
「私が得意な絞殺でいきますね。これが一番人気なんですよ。ターゲットの苦しむ顔がよく見えますからね。それじゃあ、あなたの顔が映るようにカメラをセットして、と……」
――――ちょ……ちょっと私、急用ができたので帰らせていただき……ぐえっ!
「いやぁ、インタビューを受けるのとか初めてなので緊張しちゃいました(笑) 私もまだまだ精進が足りませんね。……はい終了。言ったでしょう、面白くないって。それではこのボイスレコーダーは御社にお送りするので、あとはそちらの編集部でよろしくお願いします。インタビュー記事、楽しみにしてますね」
(2025年冬・都内某所)
――――行列のできる殺し屋、その素顔に迫る――――
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