5時限目

ーーーー5時限目


入学式から一週間が過ぎていた。

3回目の古典の授業か。。。。。。。

やだな。。。。。

薫子先生の授業だ。。。。。。


ガラッー


薫子先生が入ってきた。


起立ー!

礼ー!

着席ー!


「市原さんは、まだ、その髪なんですね!」

出席もとらないまま、薫子先生の嫌味がはじまった。

この前までは、私の事無視してたのに、今日は様子が違った。

「私の授業は受けなくてよろしい!」

「教室から出て行きなさい!」

薫子先生は厳しい表情でそう言った。


「市原ー出ていく必要ないぞ!」

上田君が独り言のように、でも、はっきりした声でそう言った。


私は上田君の方を向いて首を横に振って、教室をでようとした。


そのとき、

「市原さん、髪を染めればすむことじゃない。どうして、染めないの?」

翔子さんが立ちあがってそう言ってきた。

「その茶髪で上田君の気をひきたいのかしら?」

少し意地悪な笑顔でそう言ってきた。


私は、聞こえないくらい小さな声で

「ちがう。髪を染めるとママが悲しむの。」

そう言って教室を出た。


教室では薫子先生の嫌味が続いているようだったけど、

そんなこと、どうでもよかった。


ーーーー中庭


私は中庭でひとり、池に映る自分を見ていた。。。。


自慢でちょっとコンプレックスな著色の髪。。。。。


幼稚園の頃から男の子にからかわれたり、ひっぱられたりしたな。。。。

泣いて帰ると、いつも、ママが優しく髪をなでてくれたっけ

「ごめんね。黒い髪に産んであげられなくって。。。。ごめんね。」

そう言いながら。。。。。


私が、また、この髪で悩んでるって知ったら、ママが悲しむ。。。。。


落ち込んでる私の目の前に突然アイスクリームが現れた。

顔をあげるとそこには上田君が居た。

「上田君!授業は?」

「サボったw」

「なぜにアイス3個?」

「私もいるわよ」

なんと、翔子さんまで、授業をさぼってきた。

「鬼龍院、自分のぶんのアイスくらい持てよな。」


翔子さんはアイスを受け取りながら、ちょっと不機嫌にこういった。

「あなたたちを二人っきりにするのは、危ないから、ついてきましたわ。」

つづけて

「お母様が悲しむっていう話、私、わかりますわ。」

翔子さんの言葉に驚く私に翔子さんはさらに続けてこういった。

「でも、それはそれ!上田君は渡しませんことよ。」

なんか私も上田君も翔子さんに圧倒されて、黙ってアイスを食べていた。


キーンコーン 

   カーンコーン


「5時限目が終わったようですわね。」

「教室に戻りますか。」


マイペースな翔子さん


上田君は出る幕がなくって、ちょっと、不服そう。


私は二人のおかげで、元気がでた。


ただ。。。。上田君がひとりでアイス3個持ってたのは、謎だw

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