炎とは、全てを消してくれる。暖かくもある。他の、どの場所よりも。炎は君を連れて行った。つまり、炎は神聖なものなんだろう。だから、大切なものは炎で消してしまいたい。


 手始めに、君の写真から燃やすことにした。ライターで火をつける。写真を餌に炎は少し大きくなった。赤く揺らめいて、炎は消えてしまった。黒い写真だったものを残して。


 君の写真は全て燃やしてしまった。次は、君からのプレゼントを燃やそう。また、同じ場所で火をつける。燃えつきにくいものがあるのか、炎はずっとついている。神聖な炎は全て無かったことにしてくれる。君の存在もだんだん無くなってきているはず。


 もう最終段階になった。君の存在を完全に無かったことにするためには、一番記憶を持ってる私を燃やさないと。いつものようにライターを取り出す。そして、自分の身体に火をつける。これで君は無かったことになる。



 炎は心地いいものだ。

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