第17話

皆が各々、靴を見ている中で



あ……これ。


私は一つのピンヒールに視線がいく。



「蒼ちゃん!!これっこれがっ」


「あたしは間に合ってます!!もういりません!!」


「俺とお揃い……」


「俺ともお揃いだぞ!!色違いだ!!」


「いりません。あたしにはこの相棒がいるから、大丈夫です」



神崎さんと五十嵐さんの物凄い猛攻をなんとか凌いでいる蒼さん。


頑張れ、蒼さん。



その間に私は。



視線を持っていかれたピンヒールを手に取る。



白の厚底ピンヒール。


靴底が淡いピンクでとても可愛い。



一目惚れといっても良かった。


このと一緒に闘い仕事たいな。



「良いものがありましたか?試し履きされますか?」


「良いんですか?」


「もちろんです。戦闘靴ならなおのこと履きやすくピッタリのものを」



店員さんがそう言ってニッコリと微笑んでくれる。



戦闘靴の話しを聞かれていたんだ。


恥ずかしい。



「すみません。こんな可愛い靴を戦闘靴なんて」


「いいえ、とても素晴らしい考えだと思います。だからお手伝いさせてください」


「ありがとうございます。ではあの」


「??」



自分で払いますので、神崎さんには……



そう言おうとした時



「あっ、可愛い」


「おお、本当だ」


「うん、可愛い」


「!!」



いつの間にか皆さん勢揃いで、試し履きをしている私の足を見てる。



わ〜っ。



「良く似合ってます」



ニッコリとどこか嬉しそうに微笑んだ神崎さんにそんな風に言ってもらえる。



「〜〜っっ」


「じゃあアレも一緒に精算をお願いします」


「神崎さん!!本当にこれは自分でっ」


「……」



無視されました!!


ああぁぁ……


値段、まだ見てないのに……。



高いのだったらどうしよう……。

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