第15話
「戦闘靴?」
連れて行かれていた蒼さんが戻ってきた。
そして神崎さんの言葉にキョトンと首を傾げる。
ああ、普通は言わないよね。
「仕事で履く靴のことをそう呼んでるんです」
私にとって仕事=戦闘なので。
「おおっ。なんかカッコいいっ」
「ね。俺がその村上さんの戦闘靴を壊しちゃって」
「え!?」
驚く蒼さん。
「!?」
そして驚く私。
壊!?
「いえいえいえ、あれは私の不徳のいたすところで」
神崎さんのせいではありません。
そう言う。
そして
「連れて来ていただいて申し訳ないのですが、このお店の靴は私には高嶺の花で手が出ません。なので」
「ああ、それは心配いりませんよ。壊したお詫びに俺が買いますから」
「……え?」
今なんと?
俺が買う?
「いやいやいや!!お詫びだなんて、言いましたよね?神崎さんのせいじゃないって」
「いえいえ、俺のせいなので」
「なんで!?」
え?
この人、話聞いてないの?
私、ちゃんと言ってるよね?
「俺があんなに早く歩かなければ」
「いやいや」
あのピンヒールは履きすぎたことによるただの限界で。
それがあの時だっただけで。
そう言おうとするも
「……ううっ」
そんなっ、そんな捨てられた子犬のような表情で見ないでーっ。
「これからも村上さんが戦っていけるように、戦闘靴を俺に買わせてください」
「ううっ、わかりました!!買います!!買いますから!!自分で!!」
「それはダメです。俺が買います」
「ですからっ」
「臣さーん!!」
「うん?じゃあ、村上さん。好きなのを選んでくださいね」
「え!?ちょっ!?」
コレ幸いと、五十嵐さんに呼ばれてそっちに行ってしまう神崎さん。
選べって……
いやいや、働いている会社の所属アイドル様に物を買ってもらうなんてあってはならない。
もうどうしていいかわからず狼狽えていると、ポンッと背中を叩かれた。
「蒼さん」
「ああなってはもう無理です」
「へ?」
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