第8話
「社……社長……」
「どういうことですか?」
ああ……隣が怖い、見れない。
「どういうことって、この子」
社長があたしを神崎さんの前へ。
「村上芽依さん。今日から家無し子になったから、シェアハウスに住まわせることにした」
ニコニコの社長。
……まさか、シェアハウスの住人って。
「……」
神崎さんの眉間のシワが更に深いものに。
「あのっ」
「それは」
辞退しようとしたら、神崎さんが口を開いた。
「蒼ちゃんや陣は」
やっぱり……
シェアハウスの住人は“蒼ちゃん”と神崎さんと……
陣ってまさか
「蒼は“いつでもどうぞ”って言ってくれたわよ。陣は……知らない」
社長……。
ケロッと言う社長に私と神崎さんは無言。
先輩は……必死で笑いを噛み殺していた。
「そうですか、蒼ちゃんは賛成したんですか」
「あの」
家は休める場所でなければならないと思っている。
私がそうだから。
アイドルという仕事ならなおのこと。
私が入ることで神崎さんが休めないなら、断るべき。
「わかりました」
「え?」
「良かった。頼んだわよ、臣」
ペコッとまた社長に頭を下げた神崎さんが、私の何をいれたかわからない重い旅行バッグを持ってくれて
「行きましょう」
と言った。
え!?え!?え!?
どうしたら良いかわからず、神崎さんと社長、先輩を交互に見る。
「置いていかれてるわよ、早く行きなさい」
「頑張って」
ニヤニヤと笑う二人に、おもいっきり背中を押され……先を行く神崎さんの背中を慌てて追った。
「あのっ、荷物っ」
自分で持ちます、と言うも、神崎さん無言。
そんな神崎さんと一緒に……住む!?
有り得なくなくなくないですか……?
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