第3話

「えっ!?なっ……ゴッフゥッ!!??」



ゴンッ!!



ゴロッ!!



脇目も振らずに雄大が突進してきた。



避ける間もなくお腹に抱きつかれ……



その勢いの凄さに廊下の壁に激突。



頭を打ち、廊下に転がる。



腹に抱きついたままの雄大と共に。



「アイタタタ……。雄大!!」



「居るっ。奴が居るっ」



なんとか体を起こし、怒ろうとした……が



フルフル震えて、頑なに目を瞑った雄大がそんなことを言う。



「ハァ~……。今日は何??」



「黒い悪魔」



「ゴキ」



「やぁ!!その名で呼ぶなぁっ!!」



いやいやいや、ゴキをゴキ以外なんと呼べと?



黒い悪魔だなんて、冗談じゃない。



「ちょっ……と、桃ちゃんが帰ってくるまで昼寝でもしようかと思ったら……奴がっ奴が壁にっ」



「うん、で?」



「そこからどちらも動かず睨み合うこと……一時間……」



「えっ!?」



一時間!?


一時間もあの状態でいたの!?


てか、ゴキと見つめ合う方が嫌じゃない?



「早くっ、早くやっつけちゃって!!」



「ジェット置いてるでしょ!?自分でっ」



やれっ


と言おうとすると、全力で、首が取れるのではないかと言う程おもいっきり首を横に振られる。



「無理!!」



「無理じゃない!!」



「嫌っ。怖い!!だだだだってととととと飛ぶっっ」



「もうっ」
























おわかりだろうか……。


スーパーイケメン漁師。



あの巨大なマグロは恐れもしないのに……



自分よりも小さな小さな虫に激弱の、虫には勝てない、虫嫌い系男子でした……。

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