第4話

一時休校が解けた日から、私は授業以外でも魔法の猛特訓を始めた。

教師に許可を取り、学校内での練習であればいくらでも特訓ができた。

キュルネに授けられた電撃魔法を強化し、電撃と相性のいい水魔法も、百発百中と言っても過言ではないほどまでに、精度を上げた。


その頃には、私の背丈は140ほどにまで伸び、私にとって六度目の桜が咲いていた。


----第四話 成長----


「…キュルネ、あなたも大きくなったね。」


私が9つほどになった頃から、キュルネはどんどんと私の背を越していった。今じゃ、私が背中に乗れてもおかしくないほどだ。


「…これからもっと強くなるからね。キュルネとお母さんを守れるようになるから。」


キュルネもあの頃ほどの無邪気さは消え、竜としての風格を纏い始めていた。


魔法学校を卒業した私は、中等魔法学校へと足を進めた。知識は他生徒と同等、少しつまずくこともあったが、実技においては1つも不安がなかった。制度は安定しており、威力も申し分ない。電撃魔法に関しては、教師も開いた口が塞がらないほどだった。

私は相も変わらず、もう一度、猛特訓を始めた。電撃魔法、水魔法を向上させつつ、飛行魔法も向上させた。

最初はキュルネに助けを求めることもあったが、段々と飛行を安定させ、遂にはキュルネと並べるようになった。


「キュルネ、私の飛行魔法、どう?」



「…良い」


「キュルネ、今喋った…!?」


私の成長と同時に、キュルネも成長していた。

文献によると、竜は魔法に限らず、何事も習得が早いため、大人になってから人と共に過ごした竜でも、人の言葉を喋れるようになるらしい。


「…キュルネが喋れるようになって嬉しい。これからもよろしくね?キュルネ。」

「…うん」


キュルネは少し内気になってしまっただろうか。おそらく、私が常に一人で黙々と特訓を続けていたから、内気になってしまったのだろう。

喋れるようになったキュルネにアドバイスを貰い、更に飛行魔法を安定させた。それと共に、魔法の同時使用も向上させ、飛行魔法を使用しながら電撃魔法を放つことが可能になった。


「これで…やっと、強くなれたね。キュルネ。」

「…そう、だね」

「じゃあ、そろそろちゃんと、知識も増やそうか。」


子供らしく、成績を上げたいという気持ちもあった私は、そこからは知識を蓄えた。文献を漁り、実技だけじゃ足りない、詠唱が必要な魔法も覚えた。何一つ遊びなどせず、魔法のみに時間を割いた私は、いつの間にか学年一位となっていた。

実技試験では軽々と魔法を放ち、筆記試験ではほとんど間違えることなく試験を突破した。


そんな中、ある日、私の家に封筒が届いた。


「フルミネ、何か封筒が届いたんだけど…知ってる?」

「…分からない。見てみるね。」


封筒の中には、本国の魔法軍からの手紙が入っていた。手紙の内容は、ぜひ我が軍に入ってくれ、という内容だった。


「…どうするの?フルミネ。」

「…入らない。ほら、私、こういうの…得意じゃないから。」

「そう…無理してない?私のことは気にしないでいいのよ?」

「ううん!そういうことじゃないの…だから、大丈夫だって送って貰ってもいい?」

「…そう、分かったわ。送っておくわね。」


この時、遠くからは暗雲が迫っていた。少しばかりの赤色を混じらせ、轟音を放ちながら。


----第四話 終----

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