「俺とおかんを馬鹿にすんなやっ」冬也の叫びが胸に響く。

最初は利己的な動機で近づいた主人公・海江田が、関西弁バリバリのアイドル・冬也との出会いで徐々に変わっていく過程が絶妙。
冬也のキャラが本当に魅力的で、「あかん」「ちゃう」といった関西弁が文章に生き生きとした躍動感を与えてます。

軽いコメディタッチでありながら、施設育ちの子供の現実や社会の闇にも踏み込んでいて、読み応え十分。特に売春クラブのシーンは緊張感があって一気読みでした。
海江田の会社での人間関係も丁寧に描かれていて、「海江田静を心底憎む会」なんて設定も笑えます。

現代的な設定(ビール会社、アイドル業界)も親しみやすく、テンポよく読み進められる文体も◎。最初は打算的だった関係が、本当の絆に変わっていく展開に心がほっこりします。