うろ覚えのゲームの世界に転生して、暇つぶしに取った弟子に「ただひたすら繰り返す」とレベルアップの概念を雑に教えたらとんでもない化け物が誕生してたんだが!?どうしよ...
第0話 うる覚えのゲームの世界に転生したけど、とりあえず死なないために最強装備集めよ
うろ覚えのゲームの世界に転生して、暇つぶしに取った弟子に「ただひたすら繰り返す」とレベルアップの概念を雑に教えたらとんでもない化け物が誕生してたんだが!?どうしよ...
本野紀 まぐれ
第0話 うる覚えのゲームの世界に転生したけど、とりあえず死なないために最強装備集めよ
仕事のストレスで倒れ、次に目を覚ましたとき、俺は見知らぬ中世ヨーロッパ風の世界で、12歳くらいの少年の体に憑依していた。
最初は何が起きたのか分からなかったが、身の回りの状況から転生したことを何とか理解するまでに数日を要した。それから必死で「転生特典」らしきものを探したが――これが全く見つからない。
(転生者あるあるのチートスキルとか、神様からのプレゼントとかないのかよ……!)
ため息をつきながらも、この体に備わった能力を探るうち、どうやら魔力が他人に比べて桁外れに多いらしいことに気づいた。魔力のコントロールもそれなりに効く。それはかなりの救いだ。ただし、ステータス画面のような便利なものは一切見られない。
(くそ、ゲームみたいにステータスが確認できれば楽なのに……。)
だが、数年にわたって魔力の訓練を続けていく中で、ある重大な事実に気づいた。この世界、どこかで見たことがある……。
(……待てよ、これ、もしかして――小学生のころ、軽くプレイしてたあのゲームの世界じゃないか!?)
確信した瞬間、俺は体中に冷たい汗をかいた。
そのゲームは、クリア後のやり込み要素が異常なほど多かったことで有名だった。魔王を倒してエンディングを見た後、新たな迷宮やシステムが次々に解放され、スキルの育成や最強装備の収集を楽しめる――そんなゲームだった。だが、当時の俺はクリア直後に最強装備だけを揃えて満足し、すぐに新しいゲームへと移ってしまったのだ。
(そういえば、魔王が復活するイベントがメインであったな……。しかも、復活後は世界がハードモードになるんじゃなかったか……?)
記憶が次々に蘇るにつれ、俺の不安は増していった。この世界で生き残るためには、早急に何かしらの手を打たなければならない。
魔力の訓練を続けながらも、俺はひたすら考え、生き残る方法を模索した。そして、最終的に一つの答えにたどり着いた。
「装備でステータスを極限まで底上げする。それしかない。」
このゲームの装備品には、凄まじい効果を持つものがいくつも存在していた。ステータスを爆上げする防具や武器、特殊な効果を持つアクセサリー……。それらを集めて装備さえしていれば、どんな敵が相手でもある程度は耐えられるはずだ。
ある程度強い魔法と最強装備で、復活する魔王に備える答えを見つけた俺はすぐに行動を開始した。幸い最強装備は友人に聞いて全部そろえた記憶はあるので、必死に地図を見て思い出した。
(よし、目標は装備の収集だ。まずは宝探しだな……。)
その後の道のりは意外と順調だった。場所に行けば記憶が蘇り、次々に目標を達成していく。
まず、オクト海洋連邦では、海賊から逃げ回りながら「海賊王の秘宝の指輪」を入手。これにより、全ステータス大強化、海洋戦ボーナス、そしてアイテムボックス機能を獲得した。これが大きな転機となり、その後の行動が一気に楽になった。
続いて、ナハクサ大森林では勘違いから始まった部族内戦を静め、「長寿の首飾り」と「世界樹の涙」を入手。首飾りで全ステータスと魔力自然回復力が大幅に強化され、「世界樹の涙」で一度の死を回避可能な安全マージンを確保。
これにより、装備と能力が飛躍的に向上し、生存率が格段に上がった。
次に向かったのは、最強装備「初代勇者の剣」を手に入れるため、古代勇者が眠る最東端の村。しかし、ここで予想外の足止めを食らうことに。
剣はどこを探しても見つからない。おそらく何かフラグを立てないといけないのだが、それが何なのかまるで分からない。この何もないさびれた田舎村で、ただ時間を過ごすのは苦痛でしかなかった。
仕方なく、暇つぶしに村の生活環境を整えることに。壊れかけた井戸を修理し、簡易的なトイレを設置するなど、日常生活の質を改善していると、村人たちから感謝された。その間も、魔獣を安全確保と食料のために狩っていたら、一人の少年になつかれるようになった。
この剣は攻撃力最強の絶対に手に入れたい装備だ。フラグが出るまで暇でもあったので、自分の実力を村人たちに見せつけながら少年にこう言った。
「俺みたいに強くなりたかったら努力しろ。ただひたすら繰り返せ。この世界は努力が必ず結果になる。」
この言葉に少年は目を輝かせ、憧れの眼差しを向けてきた。すっかり調子に乗った俺は、師匠ぶりながら彼の訓練をつけることにした。どうやら少年は、過去に魔獣に両親を殺されていたらしい。その分、復讐心と努力の意志が強く、こちらも指導に力を入れた。
半年ほど訓練を続け、魔獣を倒しているうちに、ついに勇者の剣を発見した。特定の条件を満たしたことで、剣が出現するイベントが発生したのだ。
だがこのころになると、師匠ぶるのにも飽きてきたし、そろそろステータス任せの剣術に実力不足がバレそうな雰囲気も出ていたので、俺は少年に向かってこう言った。
「俺みたいに強くなったら探しに来い。また修行をつけてやる。」
それっぽい台詞を残し、次の目的地へ。捨てたわけじゃない……ごめんよ、少年。
その後はさらに順調だった。古代龍を倒して防具を整え、金稼ぎのために出たコロシアムでは無双。見事な勝利を収め、観客から大歓声を浴びた。だが、その後に事件が起きた――王都への魔王の初襲撃だ。
偶然巻き込まれた俺は、最強装備と魔力を駆使して魔王を撃退。これが国王や貴族たちに認められ、気が付いたら「勇者」に認定されてしまった。
それからは怒涛の日々だった。全世界連盟が設立され、魔王との最前線が確立。俺は最前線で勇者として戦うことに……。ステータス底上げしただけで、大した実力もなくて、ただでさえ前線で戦わされて忙しいのに、帝国から弟子にしてくれとか言ってくめんどくさい奴らもいるし。適当にもう弟子は取らないとか言って断れているけどいったいいつまで持つか…。
(どうしてこうなった……ただ生き残りたかっただけなのに……!)
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