かわら なお

 

嫌だ行かないでと言えたらどれだけ良かったか

いまや灰と炭になってしまったあなたにこんなこと言っても届かないんだろうけど

泣くことすら許されなかった 縋りつけなかった

あなたの記憶の彼方に私が居たらいいけれど 人が語る朧げなあなたは 私を記憶しているようで記憶していないようなものだったから

せめてあなたが私を忘れないでいてくれたら 憶えていてくれていたら きっと書いた手紙も送った写真も無駄ではなかったと思えるんだろう

あなたが最後に見た景色を私は知らないけれど 最後に映ったあなたの景色が少しでもあなたが望むものであれば

あなたが旅立つ前にお墓参りに行った

「まだ連れて行かないでくれてありがとう」「喧嘩しないでね」「1人にしてごめんね」と犬猿の仲だった大祖母と祖父に言ったと思う

ずっと「死にたい」と打ち明けたあなたを無理矢理生き続けさせているんじゃないかと思っていた

そんな矢先だったから

「そっちに行っても楽しくね」

泣かないでほしい

どうか


死ぬことをまだ実感できないけれど もう生きていないあなたへ

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  かわら なお @21115

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