「僕がいっぱい君を甘やかしてあげるよ?」と銀髪の美少女サキュバスに誘惑されたので、魔王軍に寝返ることにしました。~俺を追放したクソ王子なんかもう知りません~

古湊ナゴ

プロローグ 絶世の美少女サキュバスと、裏切り者の俺

 目を覚ました俺が一階へと降りると、キッチンで銀髪の美少女が料理をしていた。

 その少女――キスリア=ヴォルドレニアンは俺の姿に気づくと、そっと優しい微笑みを浮かべてくる。


「おはよ、ランジくん。昨日はぐっすり寝れた?」

 

 綺麗で、可憐で、色っぽくもある声音だった。

 キスリアの容姿は、とてつもなく美しい。

 月の光のように淡く輝く銀の髪に、宝石なんかよりもずっと綺麗な深紅の瞳。

 その顔立ちは誰よりも美しく、綺麗で、妖艶で――そして、とても可愛かった。


「ん? どうしたの、ランジくん。僕の顔、何かついてる?」


 俺がその美しすぎる容姿に見惚れていると、キスリアはこくりと可愛らしく首をかしげてきた。

 そんな可憐すぎる仕草を前に……俺は朝っぱらから、さっそく理性を保てなくなってしまう。

 そして俺は気づけば、エプロン姿のキスリアに正面から抱きついていた。


「んっ……もう、本当に今日はどうしたの? いきなり抱きついてくるなんて……」

「だって、エプロン姿のキスリアが可愛いから」

「毎日見てるでしょ? もう……本当にしょうがないなぁ、君は」


 よし、よし、と。

 キスリアが、俺の頭を優しく撫でてくる。


「いい子、いい子。大好きだよ、ランジくん」

「あのさ、キスリア……」

「うん、いいよ。朝ご飯の前に、僕にいっぱい甘えちゃおっか」


 そう言うとキスリアは、俺の耳に軽く口づけをしてきた。

 桜色の薄い唇が、優しくも妖艶な言葉を囁いてくる。


「硬いの、僕のお腹に当たってるよ? ……僕の手で、シてあげるね?」


 キスリアの白く華奢な手が、俺の興奮した下腹部にぴとっと触れた。

 ひんやりとしたキスリアの手は、俺の身体に痺れるような甘い快感を与えてくる。

 そんなキスリアの奉仕に身を任せながら、俺は彼女のやわらかい胸にぎゅっと顔を埋めた。


「あんっ……ふふっ。今日のキミは、いつもより甘えん坊さんだね。もしかして昨日、なにか嫌な夢でも見ちゃった?」

「……鋭いな、キスリアは」

「だって僕たち、もう一年になるんだよ? ランジくんが――、僕と同棲するようになってから」


 そう。そうなのだ。

 俺――ランジ=スレイジオは、いわゆるである。


 この世界では、人類と魔族による激しい戦争が繰り広げられている。

 俺は元・日本人であり、ランジという名前の人間としてこの世界に転生した。そして魔王を討つための勇者パーティの一員として、冒険の日々を送る予定だったのだ。


 だが……今では俺は、魔王軍の一員だ。

 俺はある日、突如としてクソ王子により勇者パーティから除名をされ、さらに国外追放という理不尽な処分を受けた。

 あの日、クソ王子から言い放たれた言葉を、俺は今でも俺は鮮明に覚えている。


『――ランジ=スレイジオ。忌々しき《紅災の瞳》を持つ、邪神の生まれ変わりよ。貴様を、我が聖王国から永久に追放する』


 そうして理不尽に全てを奪われた俺は、当然、途方に暮れることになった。

 その最中に出会ったのが、魔王軍四天王のひとりにして、絶世の美貌を持つ美少女――つまり、キスリアだ。

 あの日、彼女は敵であるはずの俺を優しく諭してくれて……そんな彼女と一緒に過ごすために、俺はあっさりと魔王軍に寝返ったのである。


「キスリア、そろそろ……っ」

「うん、いいよ? 僕にいっぱい甘えて、いっぱい気持ちよくなって?」


 キスリアは、サキュバスと呼ばれる魔族のひとりだ。

 彼女はそんな淫魔の中でも、抜群の美貌を誇っている。穢れのない白い肌、儚げで華奢な四肢、スレンダーな体躯なのに豊満な胸、甘い言葉を囁く声音に、可憐かつ妖艶な桜色の薄い唇……と、その容姿の美しさを挙げだしたらキリがない。

 

 しかもそれだけでなく、キスリアは天使のような優しい性格の持ち主なのだ。

 そんな彼女は、俺の心に優しく寄り添い……こうして、献身的に性奉仕をしてくれたりもする。


「んっ……ふふっ。どう、気持ちよかった?」


 俺はキスリアの胸に顔を埋めたまま、こくこくと頷く。……キスリアの身体からは、とても良い匂いがした。ラベンダーに近い香り。とても甘美で、蠱惑的な匂いだ。

 と、キスリアは俺の頭をぽんぽんと優しく撫でてくる。


「でも、汚れちゃったね。お風呂、一緒に行こっか?」


 そしてキスリアは、穏やかで可憐な笑顔を浮かべた。

 これが俺の……いや、俺たちの日常だ。

 とても幸せで、まさに夢のような生活。

 だから、そう――、


 ――あのクソ王子が率いる聖王国がどうなろうと、もはや、俺の知ったことではないのである。

 

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