ビスケットホール。本作を読んで初めて知った単語でした。
大人たちが集まって、「ビスケットの缶」をキープし、それらをカクテルやコーヒーと共に味わうための場所。
お酒がメインのバーはたくさんあるけれど、あえて「甘い物」を楽しむための「大人の社交場」というもの。
イメージを見て、なんだか素敵だなあ、と思いました。
本作はそんな「背伸びせず、静かに人生を楽しもうとする大人の姿」が描かれていました。
作中の主人公も、私生活を紐解けば「幸せいっぱい」とは言えない状態を生きている。
でも、そんな彼女でもこのビスケットホールでのひと時を静かに楽しむ。
出てくるお菓子がホワイトチョコのクッキー、というのがまた良い。ビターでもなく、ミルクでもなく、好き嫌いが分かれるけれど、どこか上品な雰囲気のあるホワイチョコ。
これを食べると「ちょっとした非日常感」が得られそうで、それが作中に出てくることで、特別な時間を送っている感がより強まります。
明日にはどこかのスーパーにでも行って、ホワイトチョコを一枚買ってこようか。そしてコーヒーでも片手に静かな夜でも過ごすのもいいかもしれない。
そんな静かで落ち着いた空気感を味わわせてくれる、素敵な作品でした。