未来から来た少女

ruki

「七日間だけの再会」

薄暗い部屋に、僕の生活感が溢れている。

学生時代に使っていた机や、脱ぎっぱなしのジャケットが椅子にかけられたままだ。

何も変わらない日常だと思っていたが、突然、見知らぬ少女が僕の目の前に現れた。


「……お父様。」


玄関の前に立っていたのは、見知らぬ少女だった。

制服姿の彼女は、少し震える声でそう僕を呼んだ。


「え、えっと……誰?」


「……私はセレナ。お父様の未来の娘です。」


一瞬、彼女が何を言っているのかわからなかった。

驚きと緊張が入り混じった声で、少女は僕を見つめている。

茶色のセミロングの髪、どこか寂しげな瞳。

確かに初対面のはずなのに、どこか懐かしさを感じる雰囲気をまとっていた。


「未来の娘? そんなこと、信じられるはずがない。……君、大丈夫? 何か困ってるなら警察に行こうか?」


僕が戸惑いながら言うと、セレナは小さく首を振った。


「信じられないのは当然です。でも、私は未来から来ました。理由は……お父様に会うためです。」


信じ難い話だったが、その瞳には嘘をついているような様子はなかった。


「ただ、一つだけお願いがあります。私がここにいられるのは七日間だけです。この期間が過ぎれば、私は未来に戻らなければなりません。だから、その間だけでいいので一緒にいさせてください。」


セレナの声は震えていた。彼女が何かを必死に訴えかけていることは伝わる。

ただ、その理由が本当に「僕に会いたいから」だけなのか、胸の奥で妙な違和感が消えない。


「七日間……?」


「はい。タイムリープには厳しい制限があります。この期間が過ぎると、元の時代に永久に戻れなくなってしまうんです。」


それを聞いて、僕は何も言えなくなった。

目の前の少女が嘘をついているようには思えない。

けれど、彼女の言葉の裏に、もっと大きな秘密が隠されている気がしてならなかった。


こうして僕とセレナの、限られた七日間が始まった。

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