千葉から岡山まで780キロ 自転車・野宿で行ってみた

八幡ヒビキ

1日目

第1話 出発の夜

 2024年12月27日の夜。


 世間は9連休と騒いでいた年末年始のスタートでした。


 私は自治会の歳末パトロールを終えて風呂に入り、身支度を調えます。そして午後9時、装備も調えた自転車で出発です。出発はほとんど東京の千葉。目的地は岡山。予想走行距離750キロ。1日140キロ前後走る予定でした。


 自転車で自走なのでもちろん宿泊の予定など全く立ちません。余裕がある行程ならばそういうこともできますが、自分はその場任せの勢い主義。なのでチェックインの時間までに宿に着ける自信が全くなく、野宿なのです。


 しかも久しぶりの野宿なので不安があります。実にコロナ前なので5年ぶりです。それに体力にも不安があります。というのもカクヨムに投稿を始めてからこっち、ほとんど自転車に乗っていないので……


 それでも5年ぶりの自転車・野宿旅行を決めたのは娘が「行ってきていいよ」と背中を押してくれたからでした。「小説ばっかり書いていてもインプットがないとダメでしょ」とも言われまして……その通りですね。


 我が家には猫が2匹います。コロナ直前に飼い始めた保護猫です。捨てられたらしいロシアンブルーの女の子と完全野良の7割方白のキジの男の子。この男の子が朝、餌をねだりに私を起こしに来るのがかわいくて、前に野宿に行きながら結局、一睡もせずに家に戻ってきて餌をあげたくらい溺愛しているのです。


 なのでこの子達がいる間はとてもではないのですが野宿どころか旅行にすら行く気になれなかった自分なのです。


 それでも娘が猫の面倒をみると約束してくれたので、不安ながらも行ってみるかという気になりました。


 しかしただ行くだけではつまらないので、縛りをかけました。その縛りに関してはまた後ほど説明したいと思います。


 旅用の折りたたみ自転車にまたがり、後部には大きなパニアバッグを2つ、リアバッグを1つつけました。暗いところでは自動点灯する赤色灯を装備しました。前照灯は電源が不安なのでダイナモ式のLEDライトを装備しました。昔のものと違ってとても漕ぎが軽く、抵抗が少なく、内部のリフレクターがいいのか範囲は狭いものの明るさは充分です。カスクヘルメットを被って、ヘッドライトもつけて、完全防寒で、さあ出発です。


 長い長い――往路だけで5日間を予定している自転車旅のスタートでした。

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