コンビニを舞台にした繊細な青春ストーリー。無愛想で他人に興味を持たない高校生・村上小四郎が、コンビニの店員・的場と出会い、何気ない日常の中で少しずつ変化していく様子が描かれています。
派手な展開はないものの、小さな心の動きが丁寧に描かれているのが本作の魅力です。的場の柔らかい笑顔や、ポイントカードのスタンプといった些細な出来事が、小四郎の心に波紋を広げていきます。登場するキャラクターたちも個性豊かで、彼らの関係性が物語を広げていきます。
小四郎は一見無関心で冷めた高校生ですが、意外にも細やかな観察力を持っています。ポイントカードを捨てずに取っておくなど、自分でも気づかぬうちに何かに惹かれている様子が微笑ましいです。対する的場は、どこまでも穏やかで優しいコンビニ店員ですが、時折見せるミステリアスな一面が興味を引きます。彼の「月のような笑顔」には、何か隠された意味があるのではないかと、つい考えさせられます。
小四郎の親友・七枝寿一は陽気で面倒見がよく、無愛想な小四郎とも自然体で接しますが、彼自身の中にも葛藤があります。小四郎の姉・三花は、自由奔放ながらも兄弟らしい距離感で接し、家族の温かみを象徴しています。
物語はまだ序盤ですが、的場の過去や、小四郎の心の変化、寿一との関係がどうなっていくのかが気になります。何気ない日常の中に小さな変化を見つけたい方におすすめしたい作品です。