兎の切手

菫野

兎の切手

草原をゆけばいつかはきみも見る誰のためでもない栞文


こぼれては透きとほりゆくさざんくわの故なき赤を目印として


折りたたみ傘をきれいにたためないひとの鞄にたたまれた森


いつか死ぬつて信じ切れない大根をきれいにほして靴を洗つて


澄んだまま生きられぬこと残酷な世界のそれはやさしさでした


傷ついたところから雪会ふことも会はざることも永遠であり


取り残された花がいちばん美しいこぼれる水をくちでぬぐつて


ミスコピーされた白鳥ながめてる窓をあけたら海だつたこと


楽園を追放されたらせんですわたしあなたの中身が見たい


もしも百合ならば咲くのはいやでせう兎の切手をそつと貼つてね

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兎の切手 菫野 @ayagonmail

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