強欲
sio
プロローグ
ある次元の、ある惑星の、ほんの小さな争い。
「総員、魔法隊のボール系統魔法に続け!!」
「「「応っっっっ!」」」
小さな欲に掻き立てられる、矮小な者達が挑んでいるのは、大きな欲を持ち、また、その欲を満たさんとする巨大な者
その者はここ数十年に渡り人類と敵対している。
その者は人々から悪魔と呼ばれている。
その者はこの世界にないと言われる知識を所有していると、
その者は何かを欲していると、
この世界には不思議な力があり、その力をこの惑星の大部分の人は魔法と呼ぶ。
「嗚呼、隕石が降ってきた
総員、直ちに引け!!」
これも魔法の副産物である。
また、この悪魔と呼ばれるものはこの魔法を、いや、この者が言うには第六感を扱った結果である。
そしてその結果こそが悪魔、と呼ばれる原因である。
察しのいい者はこの説明で悪魔と呼ばれるものは人であるとわかるだろう。
この者は人よりも数段に上の頭脳と感覚を持つ者である。
また、それと同時に人からは忌み嫌われる者でもある。
「あ〜あぁ、つまんねぇ、何だこの暇つぶし、もうこの世界は飽き飽きしてきたぜ。
もっと面白くて手も足もでない強者はいないのかな?
いないなら、いいかな、頃合いかな」
言うと同時に指を立て、禍々しいオーラを発する球体を人々へ飛ばした。
「バイバイこの世界、知らない感覚も増えて良かったよ。
感謝を込めてこの人生一の魔法とやらをささやかながら、プレゼントします。
次の世界はもっと楽しくて、もっと退屈のないものがいいな」
その物体がある人と触れた瞬間ドーム状に膨れ上がりその惑星を悪魔ごと包み込んだ。
「ぎゃーー!! 逃げろ!」
「なんで……何でなのーー!!!」
「……俺には妻と子がいるのに……こんなんで死にたくなーーーい!!」
ドーム状に広がっている為、人の死に気付いた者の恐怖が近くの人へ人へと伝染し、その場にいる、いやその惑星にいる人々は苦しみや悲しみによる嘆きの声から理不尽への怒りの声などを老若男女叫んでいる。
悪魔は死んだが魂は死んでない。
この悪魔の魂は違う世界へと、違う次元へと自然に輸送されていく。
この悪魔は知らない。この異様な力には。
ある者は知っている。この異様な力を。
しかし、その事実を知っているが対処する術を知らない。
この者は選ばれた魂であると言っているが、悪魔の魂は呪いであると言っている。
そんな魂が次の生を獲得できるらしい。
次の生の舞台は
ーー地球という惑星である。
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