第6話「夕月-1-」
「いやぁ〜まさか
「寧ろ納得ッスよ、そのレベルは」
「そうなの?」
久火も同意の様子で頷く。
霊力の発現を機に交流を持つことになった輝蘭と久火・結丸。その後、輝蘭の霊能者としての登録のため所定の機関に測定に行き、輝蘭の霊力は遺伝で発現した可能性が高いこと、霊式(術者固有の術式)が既に発現していることが判明した。
「にしてもタダの身体強化じゃないのは盲点だったなァ」
「ですね……」
輝蘭の霊式は不可解な点が多いが「触れたものや自身に光る印を付与し、働くエネルギーを強化する」といったようなものらしい。
「来る前にパパと話したけど、霊力が発現したのも『そうか……』ってだけで、絶対まだなにか隠してるよね……」
登録は未成年者の人間の場合、親の許可が必要となる。そのため話は通してあるのだった。
「まァ……物騒なのから遠ざけたいってンなら気持ちは分かるッスけど……説明が足りン気もしますね」
「だよね〜!!私が決めるのじゃダメだったの!?」
「まあまあ……そこは当人同士水入らずで話すべきですよ」
「それもソだな……」
「そういえばさ、二人の霊式?はなんなの?」
「俺はコレっすね」
結丸は右の掌の上に小さな四角形の板を浮かべる。透き通る緑のソレは色眼鏡のレンズのようだった。
「
「火村くんは火のやつだったよね」
「久火でいいですよ」
「……僕は術式が使えないんです」
「えっそうなの!?……じゃあ見せてもらったのは?」
「さっきの検査で『集気特性』の話が出ましたよね。霊気は密度を高めると人それぞれに違う性質を持つ……僕のそれが『火』なんです」
「へぇ〜そういうこともあるんだ」
ちなみに検査では輝蘭の集気特性は光に関係するらしいことが判明しているが、ただ光るということでもないらしい。
「ま、これから神社のセンパイなんでしょ?色々よろしくね!キューガくんと……えっと」
「結丸ッス」
「改まんなくていいよ〜、ってか『結』ってカワイイね〜!ユイくんって呼ぼかな」
「ち、近っけェ〜……ですワヨ……急に……」
「結丸さんは特に人慣れした方が良いですからね」
「あっコイツ!!お前も一緒だろ!!」
「てかキューガくんいつも敬語なんね」
「もっと言ったれ」
「なんかクールでカッコイイよね〜」
「恐縮です」
「オイ!!」
早くも術師二人と打ち解けつつある輝蘭。そんな彼女に秘められた謎は、少しの後に三人の運命を大きく変えることに___。
暁天ノ祓(ぎょうてんのはらえ) 沙城さし @sashiro_34
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