この物語は、恋に臆病になった大学生・陽茉が、偶然の出会いをきっかけに華やかな芸能界と関わっていく様子を描いています。彼女は高校時代の苦い経験から恋愛に対して慎重になっていますが、それでも新しい出会いに心を揺さぶられます。

　ひょんなことから出会ったのは、トップミュージシャンという別世界に生きる男。彼は自信に満ちた態度で陽茉に接し、まるで彼女が自分を好きであるかのように振る舞います。その自意識過剰な態度に反発しながらも、陽茉は次第に彼の孤独や本心を知ることで、ただの勘違い男とは言い切れない一面に気付き始めます。

　物語は軽快なテンポで進みながらも、主人公の心情に寄り添うように繊細に描かれています。芸能界という遠い世界と、普通の大学生という立場の違いが生み出す緊張感。二人の間にある溝をどう埋めていくのか、その過程が自然に綴られます。

　現実と夢の狭間で迷いながら進むこの物語は、恋愛小説の枠を超えて「自分がどう生きたいか」という問いを投げかけているのかも知れません。