第3話

「その本面白い?」休み時間の教室で祐樹が莉愛に声をかけたのが始まりだった。「あっ、うん。祐樹さんも本読むの?」祐樹は本を読むのは好きじゃなかった

でも、ただ莉愛と話したいがためだけに好きだと嘘をついた。「紫陽花の花言葉は移り気なんだって。あと辛抱強さ 知ってた?」少しずつ話すようになって

たまに莉愛が祐樹にこうやって豆知識を披露した。

そうやって楽しそうに話す莉愛を見るのも好きだった

最後に2人で笑って楽しんだのはいつだったっけ?

相手が悪いんじゃない自分が悪いんだと背負い込む癖も昔から2人は変わらない。部屋に飾ったドライフラワー 昔2人で 初めて遠くまで旅行した時に ちょっとした思い出にと言って2人で買った。「この花が散ったらまた会おう」別れた日言ったこと、言われたことを思い出して花を眺める「嘘つき。紫陽花は花散らないじゃん」「嘘ついちゃったな 紫陽花は花が散らないのに」飾っていたドライフラワーをただ抱きしめる

優しい声も 笑顔も自分にだけ見せてくれた不器用だけど優しいところも全部大好きだし大っ嫌い。

「「大好きな人、さようなら。どうか幸せに」」

床に落ちた花もドライフラワーも全部捨てる。それは過去のことを忘れたいからじゃない新しい未来への

1歩としての行動だった。

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ドライフラワー 冬彩 桜月 @touasatuki0820

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