第3話 お義兄様とパフェを堪能しました
カフェ・ロアールは、流石に各地で入学式の行われている今日はまだ空いていた。これから混むかもしれないが。見晴らしの良い席に案内されて、私はご機嫌だった。
「しかし、八峰学園も大した奴はいなかったな。なんか三流財閥の子弟とかが多かったぞ」
「そうかな」
お義兄様の言葉を私は右から左に流した。
「そんな三流の奴らほど嫉妬心は強いからな。愛莉、今からでも遅くない。白鳥に転入してだな」
「お待たせしました」
お義兄様の言葉をぶった切ってオーナーが巨大ないちごパフェを持ってきてくれた。
オーナーナイス! 私の困り顔を見かねて出してくれたのだ。
私はお義兄様の言葉を無視して。
「オーナー、めちゃくちゃ美味しそう」
「愛莉様。美味しそうではなくて美味しいのです」
オーナーが笑って私の言葉を訂正してくれた。
「あっ、そうでした。いただきます」
私はそう言うとスプーンで1口すくって食べた。
クリームが口の中で蕩ける。
「美味しい!」
私は満面の笑みで答えた。
「ほら、もう一口」
今度は諦めたようにお義兄様が私の口に持ってくる。
仕方無しに私は口を開けた。
うーん、これも美味しい。
義理の兄に食べさせてもらうのもどうかと思ったのだが、いくら言っても聞かないので、最近は諦めているのだ。
更に一口お義兄様が私の口に放り込んでくれる。
オーナーは私達の食べさせ相いに、呆れたように肩をすくめて、下がってくれた。
周りから黄色い悲鳴が聞こえるが、お義兄様はイケメンなのだ。その辺にいるアイドルよりも。そのお義兄様が私なんて地味な女に食べさせしているから、周りの女どもが騒いでくれているのだと思う。
ムカつくから私もお義兄様にすくってお義兄様の前にスプーンを持っていく。
「はい、お義兄様」
「ン」
お兄様が喜んでパクっと食べてくれた。
なんか顔がニヤニヤしている。
尻尾があれば振っている感じだ。
私としては犬に餌付けしている気分だ。
それもとても強力な番犬に……
周りの黄色い声が木霊したが、私はいつもの如く全く無視した。
気にしていたらおちおち食べてられない。
そして、お互いに食べさせ合いしていちごパフェを私は堪能したのだ。
※※※※※ ※※※※※ ※※※※※
次は明日です。お楽しみに。
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