第14話

「それで、私は首にならなくていいんですよね!?」

「もちろんだ。……いや、それもいいか」

「え?」

 首にしない確約が欲しかったのに、直後に心変わりするなんて。


「俺の妻として永久就職はどうだ。実家の借金もどうにかしよう」

「妻!」

 亜都は驚いて声を上げる。


「妻と秘書、両方でもいい」

「いえ、あの」

 急展開すぎて亜都は言葉を失くした。

 微妙な告白のあとにこんなプロポーズなんて、もしや冗談なのだろうか。


「私の秘書さん、このあとの予定は?」

「なにもないです」

 清良の計画では、今頃は亜都と怜也は結ばれているはずだったから。


「なら大丈夫だな」

 怜也は亜都の隣に立ち、彼女に顔を近付ける。

「ここに来た時点で覚悟は決まってるんだろう?」

 耳元で囁かれ、亜都の背がぞくぞくっと甘く震えた。


 せっかく服を着たのに、脱がされちゃうのかな。

 どきどきしながら、亜都は目を閉じる。


 やわらかな感触が降りて来て、熱い夜が訪れる予感に全身が甘く溶けていった。




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今夜、上司と不倫します またたびやま銀猫 @matatabiyama-ginneko

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