第14話 影人間 最終話

それから先のことは、簡潔にお話させて頂く。


その後、私は学校に救急車を呼び出した。隆が逮捕される可能性もあるが、生命を失うよりは良いと判断したのだ。


救急車が到着すると、隆は病院に搬送された。そして治療を受けた後、何とか一命を取り留めたのである。


しかし、隆が元通りになった訳ではないのだ。というのも、あれから隆は精神疾患者のようになったというのだ。


延々と「殺したい……殺したい……」等と独り言を呟いたり、病院の壁を何度も叩き続けるような奇行が目立ったというのである。

しかも、一向に治る気配が無かったという。


怪我が完治すると、警察から事情聴取を受けたようだ。しかし、真っ当な話し合いはできなかったという。


隆は未だに精神病院に入院しているようだ。隔離され、今も治療を受けているのだという。


どうして隆が狂ったか。その理由は、明確には分かっていない。


ただ、私なりの予想ならばある。

恐らく、隆が影人間を殺害した際に、欲望を封じる壁が崩壊してしまったのだ。そして、今まで封じていた欲望は一気に放出されることとなる。


その力はあまりにも強く、遂に自我すら壊してしまった。故に隆は狂ってしまったのではなかろうか。


元の隆に戻る日は、いつか来るのだろうか。それは分からないけれど、私はそうなることを祈り続けている。





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