第8話 変わり者の製作者

「知らぬが仏って言葉があるけど、このゲームほどこの言葉が突き刺さるエロゲーは無いと思えるぜ」

「だろ?てことで幼馴染のNTRでも見るか?」

「えぇ……」


メインヒロインである幼馴染のNTRって一番見たくないモノだと思うんだけどな。でもそれぞれのヒロインの特徴もあるから、幼馴染が絶対っていう訳にはいかないだろうし。

というか、いつの間にか追加されてる系だと、いつ、どこで回収してるのか分からない恐怖がある。


「幼馴染はどこ行けば回収されるんだよ……」

「幼馴染はな、真エンドと幼馴染エンドであれば気が付かない内に知らない男のモノになってましたっていうNTRシーンの追加は無いから安心しろ」

「てことは幼馴染以外のルートを通る事が条件か。にしても、あのCG集見れば分かるけど何処に行けば発生とかじゃないんだな」

「それに関しては製作者がQ&Aで回答してる」


そう言って水樹が製作者のホームページを開き、Q&Aの記事を開いた。結構色々な内容があったが、その中でちゃんと回答されてるのがあった。


Q.なんで幼馴染とか各ヒロインのNTRのイベントが街中で発生しないんですか?

A.見に行かないと発生しないNTRってそれ寝取りというより寝取らせじゃね?


「なんかひねくれた製作者だな」

「だろうな。まあこう回答されてるから街中を歩いてて急にNTRってのは発生しない」

「身構える必要は無いと。とりあえず真エンド目指すわ」

「先に幼馴染のNTR見ないと後味悪いぞ?」

「それは真エンドのラスボス倒す前に見る事にするわ。これ以上は俺から裏切りたくねえし」


そう言いながら、水樹の完全クリアしたデータを使ってエクストラモードで本編を遊んでいる。

これは真エンドを見た人へのご褒美として、各ヒロインを攻略しないと解禁されない強化要素をON/OFFできる代物だ。

なので全部ONにすれば全員が処女で童貞でありながら、幼馴染は極大魔法を扱え、獣人は獣化を使用可になり、主人公である勇者は魔力無限、魔法と物理反射、魔法反射無効というチートパーティが出来上がる。


それで本編を進めていて少し気になった事がある。


「そういえば、戦闘エロ無いよなこれ」

「あ、そこも製作者が設定的に出来ないってしてる」

「設定的にできない?」

「そこもQ&Aで答えてた。確かエクストラモードにネタバレのメモってあるから、それ見てくれ」


水樹がそういうのでアイテム欄を開いて大切なモノからネタバレのメモを確認する。

そしたらこう書いてあった。


Q.なんで戦闘エロが無いのか。

A.主人公以外としてるの見たく無いでしょ?本編でNTRシーン流さないのもそういう理由。


A2.ちゃんとした設定を見たい人向け。

根源は非童貞非処女の性の穢れを媒体に時間をかけて再生を行う事で復活を可能としています。

言っちゃえば胞子をエリア一体に蔓延らせており、これに耐性があるのが童貞と処女という事になります。ですが一方で性行為の経験がある者はこれの耐性が無くなってる為、根源のエリアに入るだけで復活を促せるようになってしまいます。


戦闘エロについてですが、根源が生み出す魔物に戦闘エロを許可すると、根源がこの胞子の放出が出来なくなり、非童貞非処女でも完全消滅を狙えるようになってしまう為、許可しない事で非童貞非処女からの完全消滅が行えないようになっています。


この根源は戦闘によって本能を強く刺激し、絆を深めると理解しており、関係が深まる事で営みに走ると思っているため、自身に辿り着くころには胞子の耐性が無いと思っています。

自身の元に辿り着く為の扉を開けるのに、複数の女性を必要とし、男1人だけを強要としたハーレム進行が必要としているのは、それだけいれば必ず誰かに手を出すと思っているからです。


「エロゲなら手を出しても良いだろって発想を逆手にとってんかよコレ」

「そういう事」


つくづく変わった製作者だと思わされる。初見真エンドを見れるプレイヤーは初手処女クリアをする人とかで、幼馴染好きなら初手で幼馴染に手を出すだろうし、それ以外には好きなキャラに手を出すと思っている感じか。


そう製作者の思惑を考えながらプレイしてると、なんとなくだが気になる事がある。


「幼馴染、なんか燃費悪くね……?」

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