主人公は、残業上がりの帰り道に奇妙なものを見つけます。
季節は冬で、吐く息も白くなる季節にございました。
そして、残業上がりということは、もうそこそこ夜もふけた時間なのでしょうな。
……まだ小学生にも満たない男の子が、棒切れを使って石や雑草をつついて、何かを探しているのです。
主人公は、トラブルを避けたい……まあ現代人然とされた方なのでしょうな。
そんな性格をしていたのですが流石にこの状況は見過ごせません。
男の子に声をかけるのですが……
「落とし物が見つからないので帰れない……
お父さんもお母さんも悲しむから帰れない……」
いやいや……
夜遅くに息子が家に帰らないで、外を彷徨ってることよりも悲しい事態って一体なんだ!?
と思わけですが……
最終話で全てが明かされます。
個人的に面白かったのは、警察の対応ですね。
なんだかリアルでした。
昨今流行りの、間が話や、2chの掲示板の書き込み、というよりかは、
非常に古典的で王道なストーリーテリングと思いました。
引き込まれたのは、文章の丁寧さだと思います。
ご一読を。
ミステリアスな冒頭から、一挙に引き込まれます。
ある日、一人の子供が途方に暮れたようにしているのを見つけた主人公。
どうしたのかと声をかけると「落し物をした」と答えが返る。それは大切なものなので、見つけるまでは家に帰れないと言う。
何を落としたのかと問うが、明確な答えは返らない。どうしたものかと悩む主人公だったが……
「落し物」の正体がわかった時、やるせないような気持ちにさせられます。
どうにかして、この子の問題に答えを出してはやれないものか。事実を知ってしまった主人公は、その後はどんな気持ちで過ごすのだろう。
あれこれと考えさせられる、強烈な余韻を持った作品でした。