2-7 ティアラ奮闘記-行動を開始する

◁◁◁時間は巻き戻る◁◁◁



下級妖精の記憶能力はお粗末なもので、一週間もすれば全て忘れ去ってしまう。

この性質を考えればティアラは例外中の例外だった。


(お姉ちゃん)


これまでに起こった出来事をティアラは何度も反芻していた。自分が『らくえん』に来てからまもなく、病気だといってどこかへ連れて行かれた姉。しばらくして再開した姉は元気な姿……どころか、全身が融解したスライムのような姿になって現れた。


そこから姉と色々言い争ったりしたけれど、最終的に和解することは出来た……と、思う。結局また何処かに連れて行かれてしまったけれど。



……そう、問題はそこだ。


私たちが最初ここにきたのは、保護と育成という理由だった。でも、ここで行われていることは明らかに異なる。なにか、悪意の籠もった行為が行われている。

その証拠が姉の変わり果てた姿だ。


この件に対して、魔物牧場側は一切のフォローを行わなかった。妖精の知能など動物と大して変わらぬと侮っているのだ。


『何か、変だ。』……こう気づいた人間の取る行動は大きく2種類。一つはただ怯え、自分の殻閉じこもり、ただ事態が好転するよう祈る亀。

一つは考え、行動し、良し悪しはどうあれ結果を自分で手繰り寄せるもの。


ティアラは後者だった。知性という武器を携え、小さな勇者は往く。


「行動を開始する、よ。

……妹だって、守られてばかりじゃ居られないんだから。」

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