海外ファンタジーの名作群を夢中になって読み耽った子供の頃。この作品を読んでいると、あの輝かしい時間を思い出します。
重厚で骨太な読み口。緻密に作り込まれた世界観と、読者にストレスを生じさせないよう計算された段階的な情報開示。謎が謎を呼ぶ展開と、ストーリーが進むごとに広がっていく世界。ハードながらも温かな人情に溢れた物語。そして何よりも、冒険者シグの有無を言わせぬカッコよさ。
今の時代においてはファンタジーといえば二言目には様々な枕詞がついて回るようになりましたが、これこそが俺たちが読みたかった「ファンタジー」だ! と声を大にして叫びたくなるような作品です。
(5/26追記)
三章まで読了した上で重要なことをお伝えします。この作品では極めて良質な女師匠成分を摂取できます。重要なことをお伝えしました。
冒頭を読んだときに羅列された言葉たちに歓喜しながら読み進めたら一章が終わってました。信じてください。あっという間に読んでしまったのです。
設定もさることながら個性あふれる仲間たちとたくさんの謎。流れは王道ファンタジーなのにそこはかとなく香る不穏さ。読めば読むほど続きが気になって仕方がないです。
主人公の目的、魔術書の謎、そしてそれをめぐる人たち……展開が丁寧に広げられていくので、読者が置いてけぼりにならないのがいいです。
戦闘シーンも迫力があり、読み進めるたびに空気を感じ息を呑みながら見守ってしまいます。自分が現場にいるような感覚、本当に素晴らしいです。
ネタばれに配慮して書いたらありきたりなことしか書けないのが悔しいですが、皆様ぜひ一話を読んで欲しいです。
みなさんも一緒に魔術書をめぐる旅を見守ってみませんか?