黒幕として微笑みたい
粋狂
転生!?
第0話 プロローグ
舞台は日本。
かつて技術大国と呼ばれた日本は今では探索者大国と呼ばれていた。その理由は超級探索者と呼ばれる
世界中で突然現れたダンジョンと呼ばれる異界への門があった。門を通り、その中で鍛錬を積んで、レベルを上げるもの、財宝を追い求めるもの、その全てを総称して探索者と呼ばれている。
レベルを上げた探索者は炎を出し、空を飛び、手で鋼鉄を断ち切った。そんな探索者の中でも更に上、最上位に位置するのが超級探索者である。
一人一人が1つの軍に匹敵すると言われている超級探索者。
具体的に超越者の脅威を表すとすれば、その怒りを買ったとある島が島ごと地図から消えたことがある。と言えば納得するだろうか。
もちろん個人によって能力が変わり、出来ることも当然違うが、島を消すという行為を行った人物と同列に扱われている人たちが並程度に収まるわけがない。
あるものは光の速さで移動し、自国に戦争を仕掛けてくる国に対し、宣戦布告がなされた瞬間、世界中に生中継されていた放送に敵国の大統領の首を置いていった。
あるものは超越者の一つ下、S級探索者と呼ばれる者たちが五人で相手をする最上級の強さのモンスターたちを相手に、同程度の強さを雪像を作り、その物量をモンスターの数十倍にして圧勝を誇った。
あるものは超越者同士の戦いで、頭を潰されても、心臓を握りつぶされても再生し、不死身のごとく生き返った。
そのような
世界に存在が確認されている超越者は12人。そのうち3人の超越者が日本に所属している。
世界にいる超級探索者のうち、4分の1が日本という狭い島国にいるという事実は世界が日本を注目するのに十分な理由だった。
核兵器よりも凶悪な能力を持っている人を一番多く保有しているのが日本であり、もし日本に戦争を仕掛けられたら負けて当然。だからこそ、日本の動向は各国が注目していて、何よりも恐れている。
世界恰好が注目している日本の、その日本に住む若者が注目している流行の的。
それがダンジョン配信だった。
ダンジョンのなかでモンスターと戦い、時に仲間と、時に自分の持つすべてをかけて財宝を求めて探索する。あるいは将来の超越者になりえるかも知れないその姿は世間から羨望、嫉妬、憎悪、あらゆる感情を向けられていた。
アイドルのように華やかではない。お笑いのように面白くはない。泥臭く、生死賭けた戦いが娯楽として消費されるのがこの世界の常識だった。
そんな世の中に一つの動画が公開された。
ダンジョンの中でもなければ戦闘風景でもない。それでも確かに世界中の人間を巻き込んだ騒動の始まりとされている。
ダンジョン配信者を多く抱える業界の最大手事務所兼探索者クラン『
その公式アカウントにて投稿された1本の動画が今回の騒動の発端だ。
『初めまして、どうもこんにちは。
私の名前は……そうだね、ロキとしようか。』
その動画に出てきたのは笑い泣きをしているピエロの仮面を付けた、一目見ただけで分かる、中学生ほどの子供だった。
取ってつけたような明らかな偽名。それが活動名だったとしても、今考えたようなその仕草は言ってしまえば世間を舐め腐ったクソガキだった。
『今回は皆さんお察しの通り『
『とはいえ、それだけの内容では寂しいので、どうして配信者になろうと思ったのかという部分についてお話しようと思います。』
仮面がよく映るようにアップだった画面が、ロキの全身が写るように引きの映像に切り替わった。
『まぁ、言ってしまえば簡単なことなんです』
手遊びのように手から水を出したロキは、水を玉の形に変え、上に投げてはキャッチを繰り返した。
次の発言が、世界を巻き込む大騒動のその1番最初の火種となった。
『探索者って超越者含めてクソほど弱いよねって』
『だから僕が正しい道を示してあげようかなってね』
動画が公開された1月15日。
その日、その動画は『
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