白い貴婦人

古野愁人

1

 わたしは崖の上に立ち、小さな湖を見下ろしている。正確には湖ではなく大きな水溜まりらしいが、そんなことはどうだっていい。重要なのは、この澄んだ水の底——地底深くに、わたしの探し求めるものが眠っているということだ。

 眠っているという表現は比喩ではない。彼女はひとつしかない巨大な目を瞑り、寝息ひとつたてず安らかに微睡んでいるだろう。死んだように。あるいは本当に死んでいるかもしれないが、それすらも些細なことだ。

 わたしには彼女を蘇らせる術があるのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る