第2話 お願い

制服から私服へと着替えて1階へと戻りリビングの扉を開ける。


「何してんだ?」


扉を開けると来栖さんが部屋を観察しながら歩き回っていた。


「えーと」


「なんで歩いてんだ」


「なんで人が居ないのか気になって」


「そういう事か。、こっちに来てくれ」


俺はそういい和室へと向かう。


「ただいま母さん、父さん」


俺は仏壇に話しかける


「いつも通り無事何も無かったよ。いや、あったかなここにいる来栖さんが困ってたから約束通り助けたよ」


俺はそこまで言い後ろを向く


「こういうことだ」


「ごめんなさい」


「別にいい」


人が家に来ると毎回こうだからもう慣れたとしか思わない


「で、あんたはどうすんだ?」


「誰かに拾ってもらおうと」


「どうしてだ?」


「·····で·····」


「なんて?」


「家出したんです」


「家出·····か。」


「あの」


「なんだ?」


「お願いします。私を拾ってください」


「··········は?」


え?俺に拾ってください?


「自分が何言ってるかわかってるのか?俺も男だぞ?」


「はい、覚悟してます」


「手を出すかもしれないぞ?」


手を出すと言っても物理じゃない性的な方だ


「大丈夫です」


ここで拾ってしまうと俺の時間は完全に消え失せる


「お願いします。何でもしますから」


「女性がそんなこと言うな、普通なら危険だぞ」


「でも··········「わかったから、その代わり家だろうと高校だろうと必要な時以外は話しかけないでくれ。」わかりました!」


さっきまで暗い表情だったが俺が了承すると明るい表情になった


「じゃあ俺は部屋に戻るから適当にしてていいから」


「わかりました!」


俺は部屋へと戻りゲームやラノベを読む


2時間程経つとコンコンと部屋の扉をノックされる


「なんだ?」


「夜ご飯です」


夜ご飯?何も作ったりしてないはず··········まさか作ったのか?確かに食材は冷蔵庫に入れてたけど

扉を開けて来栖さんと共に1階へと降りる

テーブルの上には白米・肉じゃが・焼き鮭・味噌汁とあれはなんだ?まさかあれは茶碗蒸しか?


「時間が無くて簡単なものしか作れませんでした」


「いや、充分凄いと思う」


「そ、そうですか」



ーー来栖視点ーー


急に早退しなさいと言われたので先生に説明して家に帰るとお父様から本のようなものを渡される

中を見ると男性の写真が貼られていた。きっとこれはお見合い写真なんだろう


「未来、ちゃんと確認しておきなさい」


「お父様、前々から言っていた通り私はお見合いはしません!」


「そんなことは許さん」


「許してくれないのならこんな家出ていきます!」


そう言い私は鞄を持ち制服のまま家を飛び出した

気がついた時にはよく分からないところに着いてました


どうしよう、お財布置いてきてしまった

家を飛び出してから1時間経ってあることを思いついた。

一応可愛いとはよく言われたので誰かに拾ってもらおうと考え、ノートに誰か拾ってくださいと書く


そしてノートを持ったまま座り込む


5分程経った後「あんた何してんだ?」と声を掛けられたので振り向く


「··········えーと、誰かに拾ってもらおうと」


「何馬鹿なことしてんだ、そんなことせずに帰れよ」


帰れたら帰りますよ


「··········。」


「何かあったのか?」


「··········。」


「とりあえず中に入れ」


私は何も話さなかったのにこの人は家の中に入れてくれる。


「リビングにいてくれ」


そう言われたのでリビングにあったソファに座る


「家族は居ないのでしょうか?」


気になったので当たりを散策する


「何してんだ?」


背後から声を掛けられる


「えーと」


「なんで歩いてんだ」


「なんで人が居ないのか気になって」


私が正直に話すと男の人は「そういう事か来てくれ」と言い、私を和室へと案内する

そこには仏壇があり男性と女性の写真が置かれている

男の人は仏壇に向かって話し始める

話終わるとこちらを振り向き「こういうことだ」と言ってくる


「ごめんなさい」


謝ったが怒られると思った。だけど男の人は怒らなかった


「別にいい」


「で、あんたはどうすんだ?」


何故かこの人ならと思ったので事情を話すことにした


「誰かに拾ってもらおうと」


「どうしてだ?」


「·····で·····」


「なんて?」


「家出したんです」


「家出·····か。」


この人が拾ってくれたらいいのに


「あの」


「なんだ?」


「お願いします。私を拾ってください」


気づいた時には声に出して言ってしまっていた


「··········は?」


急に知らない人から拾ってくださいなんて困りますよね


「自分が何言ってるかわかってるのか?俺も男だぞ?」


そんなことならノートに文字を書いた時には覚悟していた


「はい、覚悟してます」


「手を出すかもしれないぞ?」


「大丈夫です」


家に帰るよりも良いと思ってしまう。


「お願いします。何でもしますから」


「女性がそんなこと言うな、普通なら危険だぞ」


「でも··········「わかったから、その代わり家だろうと高校だろうと必要な時以外は話しかけないでくれ」わかりました!」


そんなことなら喜んでお受けします!


「じゃあ俺は部屋に戻るから適当にしてていいから」


「わかりました!」


男の人は2階に戻って行った


暇になってしまったので夜ご飯の用意を始める

2時間程で出来たので男の人を呼びに行く


コンコン


「なんだ?」


「夜ご飯です」


そういうと少し間は空いたのですが扉を開けて出てきてくれました。

一緒に1階に戻りリビングに入ると料理の説明を始める


「時間が無くて簡単なものしか作れませんでした」


「いや、充分凄いと思う」


初めて褒められたことが嬉しくて顔に出てしまってるかもしれない


「そ、そうですか」


この人なら信じてもいいかも、信用してもいいかも嫌なことを強制しないと思った。

家族と違って

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俺の家の前に何故か天使様が捨てられている件 shiro @siro20060213

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