第39話 花の国の名
「あっ! アナタは!!」
他よりも一回り大きなテントを潜ると、ある人物が待ち構えていた。
騎士のような風体に銀の体毛。狼の尻尾と眼光。見間違えようがない。
「影騎士……!? どうして……!」
村人たちの言う護衛官とは影騎士その人だったのだ。驚くロザリーに彼は興味深そうに顎を掻いた。あの月光に照らされていた魔法のレイピアは床に置かれたままだ。
「ほう。貴様はあの夜の。魔力を使役するメイドか」
「うぐっ」
ゾイドは偶然として、この影騎士にそれを知られているのは仕方がない。他でもない彼と戦うために使ったのだから。
向かい合って座ると、影騎士は耳を疑うことを口にした。
「緋色を纏う貴様がここを訪れたということは、だ。つまりヴォルビリスの指示か?」
「……え?」
「奴から言われて私に会いに来たのだろう? 同胞に会いに来た……違うのか?」
まったく話に付いていけない。混乱しながら質問した。
「な、なんでヴォルビリス隊長の名前が出てくるんです? 私は、子供たちが錆兵に襲われていたから助けようとしただけです。そしたらこの人達に囲まれちゃって……」
影騎士が男たちに目を向けると一同は頷いた。
「なるほど。つまりこれは巡り合わせだと。まさに花神さまのお導きだ」
再び出た花神の名。目をパチパチとさせるロザリーに、影騎士は言い放った。
「花の血を分け合った貴様に教えてやる。貴様の隊を仕切るヴォルビリスとライラックは我が花の国『フラピオーレ』の潜入官だ。二国間の戦争を止めるため、君が遭遇した花冠の少年を救出しようとしている――」
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ロザリーの花集め〜スチームパンクの街に生まれたけど普通にお花の方がきれいで好きなのでフラワーショップ開きます。ついでに最強のメイドになりました〜 なけなしの氷堂 @tanakakotoha21
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