15.友、遠方より来たる12

 いつの間にか、目の前に親友・楠本幸男がいる。

「呼んだ?」「呼んでないけど・・・12度目だな。」「最近、どうしてる?」

「スッキリしたこともあるが、すっきりしないこともある。」

「すっきりした方から聞こうか。」「何とかコードってアプリは、チャットアプリらしい。しかも、ボイスチャット。」「ボイスチャット?声が出るのか。」

「参加したユーザーがボコられたらしい。文字より強烈。『炎上した』って、検索したらニュースで出てくる。オールドメディアは報道しないけどね。だから、参加しない。」

『お題』に拘るサイト。投稿で揶揄ったり、皮肉った投稿すると他のユーザーから『拍手』や『笑い』マーク。」「皆、思いは同じってか。」

「最近まともなお題があるな、と思ったら、『偉人に体を乗っ取られた』、って何時の時代だよ。もう出尽くしてるだろ、その手のは。」

「1人じゃないな。まともな『バイト君』もいれば、『お子ちゃまバイト君』もいる訳だ。それとも、『ジジイばいと君』かな?それ、どうすんの?」

「取り敢えず、突っ込んでおいた。保留・・・要らないな。」

「すっきりしない方は?」「これも『トクショ』。昨日さ。俺やお前で組んでたグループのこと『懐古的』に書いたわけ。そしたら、ノーマーク。悪かったよ、ラブ要素皆無で、って思った。」

「で?」「今日、帰宅してから再投稿。タイトル変えて。問題はそれだけじゃない。」

 俺は、撮って置いたスクショを見せた。

「え?全部同じ人?ストーカー?おっかけ?」

「みたいな数。以前の投稿に対するコメントオンパレード。夕べ、スマホで通知確認したときも嘘だろ?って思った。で、今言った投稿はノーマーク。その本文には『いつかフェードアウトするかも』って書いてあったんだけど、それで、コメント書きまくったのかも知らないが、片手オチだろ?だから、タイトル変えて再投稿。ダメなら削除します、って書き添えて。」

「苦労が絶えないねえ。そんなファンいたら、フェードアウト出来ないなあ。」

「笑い事じゃないよ。件のフォロワー数。減ったり増えたり。作為的だろ?」

「数字が増えるとご褒美増えるから、ご褒美あがなーい、ってか。」

「ユーザーが閲覧した時の『広告』の数も里パージに関係するらしい。すると?」

「そこも『操作』されてるかもな。こいつにやる『広告』はねえ!!って。」

「明日は雨。もう俺には雨が降っている。」

 あ。もういない、か。


 ―完―

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