余談

過去に移動することができないとは

時間ベクトル理論において過去に移動することができないというのはタイムトラベルができないということではありません。


それってどういうこと?


わかりやすく言い換えましょう。「絶対的な過去に移動できないということはタイムトラベルができないということではない」ということです。


「絶対的過去に移動できるか」というのは、

なんかよくわからん方向からなんかよくわからん場所に来ちゃったんだけど元の場所に戻るにはどういう道を通れば良いですか?

と理解してください。

この質問に対して

……?できませんけど?

と時間ベクトル理論は答えているのです。

どの方向から来たのか、どのくらい移動したのかが定量的にわからなければ元の場所に戻ることは無理です。

つまり絶対的時間ベクトルであるメタ時間ベクトルはわからないので戻る方法はないのです。


じゃあタイムトラベルできないんじゃ無いか、と思うかもしれません。しかし相対時間領域であればタイムトラベル自体は可能なのです。


まず相対過去を決める理論は相対原点より以前には成立せず、また充分離れた未来においても相対過去を決める理論は影響しない、その理論はもうない、と考えることができます。つまり遠い過去と遠い未来は区別できません。


じゃあ区別できないからタイムトラベルできるんじゃないの?

と思うかもしれません。

しかしそうではありません。


例えば相対時間領域である2次元時空間を考えたとき相対時空間座標として(t,p)があるとします。

A(1,1)にB(2,2)から移動(相対的:以下略)したい(タイムトラベルしたい)場合、相対時間領域において

a=|A|=√(1×1+1×1)=√2

b=|B|=√(2×2+2×2)=2√2

a<b

なのでAはBより相対的に過去とします。

このとき相対時間領域においても時間軸は無限なので相対3次元時空間座標(t,p,t')ではA(1,1,1),B(2,2,2)を考えることができます。

目指すべきCは2次元時空間においては(1,1)なのでAと区別できません。(2次元時空間上でタイムトラベルしている)しかし、3次元時空間上では区別できます。つまりCは(1,1,t')です。

a,b,cは3次元時空間において

a=√(1×1+1×1+1×1)=√3

b=√(2×2+2×2+2×2)=2√3

c=√(1×1+1×1+t'×t')=√(2+t'×t')

なので

b<cのとき

2√3<√(2+t'×t')

12<2+t'×t'

10<t'×t'

(T'はメタ時間ベクトルなので0<t')

√10<t'

よって√10<t'であればb<cとなります。(2次元時空間では相対的に過去だけど3次元時空間では相対的に過去ではないし相対的に現在でもない時空間座標の条件です)

√10<t'であるC(1,1,t')、例えばC(1,1,4)は3次元時空間においてはBより相対的に未来

|C|=√(1+1+16)=3√2

2√3<3√2

なので、2次元時空間においては相対的に過去に移動できることになります。(2次元時空間ではAとCはA2=C2、しかし3次元時空間ではAとCはA3≠A3)

CをBよりも相対的に過去としてBからAに移動する場合a<b<cよりa<cなのでa≠cつまり排他したBはAよりも相対的に過去と考えた場合BからAに移動することでタイムトラベルできることになります。


つまり相対時間領域において有限の時間軸を持つ時空間では過去に移動できると言えます。

有限の時間軸、4次元時空間でタイムトラベルすることができます。

世俗ではタイムトラベルを無限次元時空間で行おうとしていないので無限次元時空間については考えていません。



これは動画をある部分から逆再生することで例えるとわかりやすいです。

動画を逆再生していくと動画の映像は逆再生を始めたときよりも過去に進んで行きます。

しかし逆再生している自分は逆再生を始めたときより未来に居います。

つまり動画は逆再生を始めたときよりも過去に戻ることができましたが、自分が逆再生を始めたときより過去に戻ったわけではありません。


どのようにタイムトラベルしたとしても原点Oには辿り着けないだけで相対原点O'には辿り着くことができます。


4次元時空間でタイムトラベルできたぞ!

と言うと

いやいや、5次元時空間ではタイムトラベルできていないじゃないですか

と言われる可能性はありますがタイムトラベルしたいのはあくまで4次元時空間においてなので気にする必要がないわけです。


タイムトラベルする具体的な方法はわかりませんがタイムトラベル自体は可能なわけです。タイムトラベルの対象を増やさない限りですが。


ちょっと証明の仕方を変えればワープという概念も相対時間領域における4次元時空間ではできることを証明できるでしょうが書くのが面倒くさいので自分で証明してみてください。



追記

ここで真のタイムパラドックスは起こらないと考えることができます。なぜなら変えたい「絶対的な過去を持つ経路」がタイムトラベルには必要だからです。

どんなに上手くタイムトラベルしたとしても経路を選択している以上経路の制限を受けます。

タイムパラドックスが起きるような移動はタイムトラベルではないわけです。

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