第21話 兄さんとゲーム

 兄さんはゲーム好きだ。


 ジャンルを問わず色々プレイしている。


「おい、なんか名前いってくれ、名前」


 ある休日、兄さんが居間のテレビでゲームをしていた。


 三十周年を迎えるご長寿RPGだ。


 意味のわからない質問に、私は首をかしげた。


 ソファでコーラを飲みながら、今読んでいたマンガのキャラ名を答える。


「ポッチン」


「よし」


 何が良しなのか、気になってゲーム画面を見る。



『それはポッチンが十六才の誕生日のことだった』


『目覚めなさい、勇者ポッチンよ』


「ぶはっ!」


 コーラを吹き出し、マンガがコーラまみれになった。


 いつもなら主人公に自分の名前を付けるのに、どんなきまぐれだ。


 どうしてこうなった。


 勇者が人に話しかけるたびにポッチン、ポッチン、ポッチン。


 テキトーに答えなきゃ良かったと、心底後悔した。

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