お見合い
第23話
「お見合い?」
由良はマンションのリビングで声を上げた。
心底疑問だという声は、端末の向こう側に向けられている。
『いきなりごめんな、由良。いや、断ってくれてもいいんだ』
電話の相手の声は由良の父である圭介のものだった。
「取引先の人と?」
『そうなんだ。向こうにも高校生のご子息がいるらしくてな。ぜひ由良と会わせたいとの希望で。もちろん可愛い由良を嫁に出す気は全く!これっぽっちもないからな!ただ合って少し食事会をするくらいだ。……頼めないか?』
(そんな必死にならなくても……)
お見合いをするのに結婚させる気はゼロというのはいかがなものか。
本来なら取引先とのそういった縁ができることは喜ぶべきところのはずなのだが。
実際相手が令嬢だった場合、圭介は喜んで意気揚々と尊を押し出していた。
もちろん尊は全て断っているが。
そんなことを思わなくもないが、由良にとっては圭介から頼られることは嬉しいことだった。
「お父さんの頼みなら、いいよ」
『本当か!?助かるよ!ありがとうな!!いや、でも俺の大事な由良を他の男に見せるだなんて……。やっぱり断るか?断ったほうがいいに違いない!』
「………お父さん」
『あ、いや……頼むな、由良』
「うん。お父さんも一緒なら安心だから」
『由良……っ!お父さん由良のことを誰よりも愛しているからなっ。風邪をひかないように寝るんだぞ?』
最後まで心配そうにしていた電話はそこで終わった。
相変わらず圭介は由良に甘すぎるような気がする。
榊グループと懇意にしている取引先から見合い話があがったらしい。
といってもお互い本気なわけでなく、将来の相手の候補として顔合わせだけでも、ということらしい。
顔見知りか友人となれるだけでも将来会社の関係者になればいいこと尽くしだ。
圭介はまだ由良を榊グループの令嬢としては、まだ表には出していない。
学生の間は榊と言う名前に囚われないようにという圭介の配慮だ。
そのために、由良の存在は世間一般にはあまり知られていない。
取引先の間などでは綺麗な娘がいるという程度の認識はあるようだが。
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