3Peace 「花々と血の匂い」
例えば、僕はこれから先また農業をするのはどうだろう? 気まぐれなセリフを頭で唱えてみたりした。
僕は変わらず阿保みたいに散歩していた。自分で滅ぼした街並みを、文明の残骸を、栄光の残りカスを歩いて。踏むようにしっかりと見回った。何の気があったのか自分でも分からない。
僕は時間を持て余しているのだから、それだけの動機で滅ぼした街だった。ほんの暇つぶしだった。
もう一眠りしたあとで、覚えていないけれど、きっと僕よりも勇敢な戦士らしい戦士もいたはずだ。そういった尊敬に足る、人物も、運悪く僕にであってしまったんだろう。そう考えを何度か反芻させていた。
何度目かの思考が丁度終盤にさしかかった時だ。
風が吹く。緩やかな風だ、少し血の匂いのする妙な風だ。血の匂いと一緒に少しだけ花の匂いがする。きっと風上には綺麗な花畑があるんだろう、あのシトロンに負けない立派な花が咲いているんだろう。
僕はそう想うと、その風上の方へ歩みを進めていた。
風上へ行くと少しして道がひらける。血の匂いが薄くなる。清潔な香りが広がる。そう感じ取ったと同じくらいのタイミングで強い風が吹いた。僕の装いもパタパタとはためく。まるで服についた血の匂いも洗われるようだった。
「こんな気分になったのは久しぶりだ」
気分は晴れていた。これは良い、やっぱり、吸血鬼も日光浴をするべきだと心から想う。
少しだけ心地よくて。また心で唱えてから、ふと気づく。
風に仰がれて揺れるローブのポケットから白地の生地が見えていた。
――紙だ。
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