第5話

カンカーン ウィーン

ジャヒルドのあちこちから工事音がスゴイ出ている。

あの日異世界転移の日から数ヶ月が経った。僕はその間、ジャヒルドの発展を試みた。意外にも反発とか起こらずに進めることができた。やることは至って簡単だ。明治維新的なものを行っただけだ。

まず、僕が魔族を治めるということを宣言し、魔族に協力を促した。そして、ジャヒデールに向かって宣誓を行い、産業革命を行った。魔族を5つのグループに分けて、科学、政治、農業、軍事、経済に分けさせた。強制的ではなく、やりたいことを選んでもらった。


科学は僕が知っている範囲での科学を教えた。科学は二つのチームに別れさした。


一つのチームは科学は科学でも力とかをメインにするのではなく、生活に役立ち、この世界を破壊しない程度に発展させるのを目的としたチームだ。例として、冷蔵庫やクーラーなどだ。これを魔石や魔鉄鉱から出来ないのかを研究してもらっている。


もう一つは色々な防衛的面で支えるものを考え実行するチームだ。そのチームにはニトログリセリンなどの化学物質は教えてはいるが、この世界にあるかは謎だから微妙なところではある。


政治は魔王と議会制にして、魔王は主に国外に付いてしか関わらず、国内のことは日本の内閣と同じようにさせている。要するに、三権分立をさせている。

ちゃんと魔物院と、悪魔院の2つに分けさせている。

何でこの名前になったかは僕が適当に考えたからだ。

裁判所も置き、国会も置き、内閣もつくらせた。

そして何より重要なのは憲法だろう。今僕が作成中だ。


農業はそのままの意味だが、耕作でのちょっとした工夫を考えたり、新しい農具の開発や品種改良を行ったりすることをメインにさせている。まあ言うのであれば、国の食料自給率を上げるためだ。だから、農業には力を入れたい。


軍事に関してはしょうがない。僕は置きたくなかったが、流石に人族が攻めてくるのに何も反抗もしなかったらそれこそだめだろう。だから置いた。だけど、僕を元帥とさせているから、そう簡単に動くというわけではない。できる限り話し合いをしたい。今のところは城壁の警護と防衛だ。ついでに城壁の修復、強固にさせている。


経済は会社をつくらせることを初期メインとして、どんどんと経済の発達を試みて、貿易を行うことがメインだ。品質が良くなると売上も上がる。そして他国との条約も結べたりできる。

そして何よりも重要なのは、魔族銀行の設立だ。

魔族用のお金――ギーラを作って市場に出すことが目的だ。今まで物々交換だったことが多いため商売をさせて、お金を重要視させようと思う。ただ、そのためには学ばせないといけないから、他国の商人たちに頼ろうと思う。


「よし、これで良いんじゃない?」

僕は書いていた原文をまとめた。

その題名には『魔族憲法』。そしてその隣にある原文は『魔族民法』だった。

「ふうっ、おっと」

流石に限界が来たのか、少しよろめいた。

とっさに誰かが支えてくれた。

「っ!?…お気をつけください。そして、少しは休んでください」

支えてくれたのはメイド兼、執事兼、サポートのミラード・アイシャルだった。

あのとき、『魔王様?』と声をかけてくれた女性魔族である。

『ミラ』とか『アイシャ』と呼んでくださいと言われているからそう呼んでいる。

今では色々と小言をいってくる。


「うん、でももうちょっと頑張らないと」

「そんなに無理をしたらからだが壊れてしまいます」

お母さんみたいなことを言うね?と言いたかったけど、彼女が本気で心配している顔を見ると、言葉が引っ込んだ。そしてすぐさま襲う眠気。

「うん…でも…がんばらにゃか……」

アイシャルはため息をつきながらこういった。

「ほら、からだは正直ですよ?ちゃんと休んでください」

僕は彼女にそう言われながらも寝室に移動した。もう意識は朦朧としている。

「すう……すう……」

「もう、あなたは頑張り過ぎなのですよ?」

そう言って怒っていたが、彼女の口はきれいな三日月型であった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「はっ!?」

あのあと寝てしまったのだろう。やっぱり疲れていたのだ。これは適度に休まないといけないな。

「今、どれくらいだ?」

まだ国の組織がちゃんとできているわけではない。色々な庁舎をつくらないといけない。

「……ん〜!よし、頑張るか!」

「今日はお休みになさってくださいね?」

「ゲッ」

アイシャルがいつの間にかいた。というかそのままずっといたのか?

「『ゲッ』とは何でしょうか?」

あ、やばい。思いっきり怒っている。

「え、えーと…」

「きょ・う・は・や・す・み・ま・す!!」

「……はい」

「よろしいです。ご褒美に添い寝をしてあげましょうか?」

「いやいやいや!?大丈夫だよ!?」

たまに彼女はからかってくる。

「はい、そうですか。ではゆっくりおやすみなさいませ」

そう言って彼女は出ていった。

「はあ…疲れた。……これからのこの国はどうしようかな?」

国の法律を決めないと、色々と制限ができない。特にこの国にも女性へのわいせつ行為は多いらしい。そのような行動も縛らないといけない。

「まあ今日は一日休まないとな」

明日も頑張ろうと思った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「攻めすぎました…」


部屋を出てすぐのところで顔をおさえた。恥ずかしすぎた。あの一言は。

「何が『添い寝してあげましょうか?』ですか…私にはそんな勇気が出るはずもないのに…」


彼女はに恋をしているのであった。彼女はの前ではお姉さん的なキャラを演じているが、実際には内気な少女であった。そして奥手でもある。


「まあ…次があるよ」


と同僚が慰めていた。


もうこの魔王城ではアイシャルが魔王様闇夜暗に恋をしていることは全員承知である。

理由としては、鈍感が見てもわかりやすい態度であったからである。


その鈍感を超えるのがその魔王様闇夜暗ではあるが…。いつ気づくのかを楽しんでいる魔王城で働く人であった。ついでに、それが今では一つの楽しみになっているのであった。

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