俺はもう一人でいい

夜空 叶ト

第1話 友情はゴミ

 友情なんてものは信用できない。

 そう思ったのは俺が中学生の時だった。

 思ったきっかけは簡単で俺が友人だと思っていた奴らは俺のことを友人だなんて思っていなくて俺のことをただの道具としか見ていなかったというのを知ってからだ。

 友情は一方通行の感情だ。

 だから俺は友達という言葉が大嫌いだ。

 勝手に誰かのことを友達といってもその誰は俺のことを友達だなんて思っちゃいない。

 そう気づくのに十数年かかったのだ。


「お前って本当にひねくれてるよな」


「うるせえ。いいだろ別に」


 そんなことを考えている俺だが今は親友と酒を飲んでいた。

 小学校からの親友。

 そんな彼とどうでもいい愚痴を言ったり自分の考えを話したり。

 そんなことをするのが最近の俺の楽しみだったりする。

 ん?

 なんで俺が親友といるか?

 それは友情じゃないのかって?

 勿論友情に該当する。

 でも、友達というちんけな言葉ではなく親友は一方通行ではなり得ない。

 だから、ある程度信用できるのだ。


「というかな俺はよく小学生が歌っている友達百人できるかなっていう歌嫌いなんだよ」


「そりゃなんで?」


「だって友達100人作って全員から裏切られたら辛いだろ?」


「ほんとひねくれすぎだわお前」


「だから俺は100人の友達(笑)よりも一人の親友がいたほうがいいと思うんだよな」


「それは少し言えてるかもな」


 だから、俺はこいつ意外とはほとんど飲みにもいかないし遊んだりもしない。

 多数の友人よりも一人の親友。

 そのほうがいいと俺は本気で思ってるんだよな。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る