第2話 その幼馴染たちはIQ30?
キーンコーンカーンコーン。
幼馴染たちの猛攻によって削られた体力と気力。
もはや授業開始のチャイムが救いの鐘の音に聞こえてくるなんて、いったいどうなってるんだ俺のスクールライフ!?
しかしそんなアイツらも授業中は至極真面目で、横目で見ていると幼馴染補正を入れても美少女だ。
幼馴染補正を抜きにしてもの間違いだって?
いやいや、幼馴染なんて毎日飽きるほど見てるんだ。
つまり毎日見たとしても自信をもって可愛いと言えるほどアイツらは美少女なのだ。
身内びいきなんてしたらそれこそ「千年に一度の奇跡」とか言っちまうぞ?
……そんなことしたらキリスト誕生以来の奇跡の美女二人がこのクラスに集結したことになっちゃう。
世界のパワーバランス戻ってこーい!
うーん、よいしょ!
これでOK。
☆☆☆☆☆
「唐木田。神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世が自身の復権のため、当時のローマ教皇に破門を解いてもらうよう雪の中で謝罪した事件はなんだ?」
「はい。カノッサの屈辱です」
「ちなみに当時のローマ教皇は?」
「グレゴリウス7世です」
実は学年でも三本指に入るほどの成績を持つ、ザ・優等生
その凛とした容姿と頭の良さから、一時期は「深窓の令嬢」「気品あふれる高嶺の花」なんて二つ名で呼ばれることもあったが、既知の通り俺の前ではあんな様子なので今では誰もその名を口にしない。
ではもう片方はどうか?
「つぐみー!」
「はいよーっ! っしょっとー!」
ピピー。
「さすがつぐみ。ナイッシュー!」
「へへ、ありがとー!」
体育の時間。隣のコートでは女子がバスケをやっているが、定期的に
実は緒美はその小柄さとは裏腹にバスケ部に所属している。そして彼女はなんと関東大会出場を誇るこの西新宿高校女子バスケ部のレギュラーをも務めているのだ。
それでいて天然で愛嬌もあるもんだから、男子からは当然熱烈な人気があったのだがそれも今では(以下略)。
そう、彼女たちは決して本当の意味でのアホの子ではないのだ。
むしろ平凡が服を着て歩いてるような俺なんかよりも人間としてのスペックは段違いに高い。
だから本来はIQ30などと呼ぶのはお門違いである。
むしろ最近ではIQよりもEQが重視されており……なんて野暮な話は置いておこう。
とにかく彼女たちを低能だと見下したいがためにIQ30と呼んでいるわけではない。
いつか見たテレビ番組でIQの算出方式を知った際に、幼稚園時代からずっと変わらない愛情表現をしてくるアイツらをその式に当てはめてみたら大体30になった。ただそれだけなのだ。
その話を冗談でアイツらにしてみたら「それだけあたしの愛はピュアってことだよ!」「私の気持ちはあの頃からずっと変わってないもん」と言われてしまったので、なんだか悔しくなって以来ずっとそう呼んでいるのだ。
つまり「便宜上IQ30」だ。
頼むからそこんとこ勘違いしないでくれよ?
なんたって最近は色々と厳しい世の中だからな。
ちなみに俺たち三人は幼稚園からの幼馴染だ。
家が近所で同じクラスだった俺たちは、きっかけは覚えてないがよく遊んでいた。
結構な頻度でおままごとをしてた気がするが、今考えると旦那一人、妻二人という倫理観のぶっ飛んだ家族構成だったな。
その後も同じ小学校、中学校に通うことになるのだが、普通思春期を迎えたあたりで疎遠になるってのが男女の幼馴染の常ってもんだろ?
しかしコイツらは幼稚園の時のノリを変わらずにずっと俺にかましてくるのだ。
そんなもんだから「好き」とか「結婚したい」がどこまで本気なのかは俺にもわからん。
でもさすがに高校生にもなって距離感が近すぎるのはいかがなものかと思う。
いくらミカンとトマトとはいえ、美少女二人のそれが毎朝両腕に押し付けられるのは俺の中でも結構耐えるのがしんどかった。
なんならその成長過程をリアルタイムで観測しているアハ体験状態だ。
(そういえば『これが……おっぱい!』って最初になったのはいつだったけ……?)
そんな俺を尻目に今日は緒美からお誘いがあった。
「ねぇ、そーくん。今日帰ったらおままごとしよ?」
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