異世界で朝ご飯亭の広報を担当します!

海坂依里

1食目 ご注文はパンですか? ごはんですか? いえ、『うどん』です。

第1話「前世の私は、最悪な性格をしていたと思います」

「新しい機材が欲しい……」


 自分の好きなことを続けていくことが、夢を叶える秘訣だと信じてきた。

 でも、お金がなければ、好きなことを続けることはできない。


「お金……」


 必要最低限の家具家電しか置かれていない無機質な部屋に、電気の明かりは存在しない。

 部屋を照らしているのはパソコンのライトと、通帳アプリと睨めっこするためのスマホの光。

 真っ暗な部屋に、心もとない光。

 これでは視力の低下は避けられないけど、今の私は電気代すら節約したい。


「はぁ、今月も食費を切り詰めて……」


 何かが欲しければ、何かを差し出さなければいけない。

 絵を描くための機材が欲しければ、食費を我慢するしかない。


「っ」


 お金持ちではない人の宿命。

 多くの人たちは、お金を切り詰めながら生活をしている。

 余裕のある生活を送っている人が限られている世界で、私は今日も好きなことを続けるためにことを犠牲にする。


「っぅ……う」


 でも、人はちゃんと寝て、ちゃんと食べないと生きていけない生き物だということを私は学習することになる。

 そんなの小学生でも知っているよってことを、大人になった私は超が付くほどの不摂生をやらかした。


「お腹空いた……」


 神様は、ちゃんと私に罰を下してしまったらしい。

 この現代日本で収入があったにも関わらず、私は栄養失調が原因で死亡した。

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