第3話 心の語尾伸びまくりいいいい

 飲食店勤務飲み屋ではないの私の職場に、スーツ姿の男性がご来店。

 駆け出し当時の私の15〜20歳上ぐらい。

 接客中、確か使われている洋酒の説明を私はしていたかと。


 そこから「僕もお気に入りのラム酒があって」

「花がお好きなんですか」などいっぱい話しかけられました。

 丁寧に応対した末、私のお勧めした商品を買ってくれて、普通に出てかれました。


 30分程過ぎた頃か、その男性、とても大きい真っ赤なシクラメンの鉢植えを抱えて再登場。

 駅前に売っているのを見て、あなたに似合いそうだと思い差し上げたくて戻ってきました、とのこと。

 ひええええ!!!


「お店にありがたく飾らせていたきますね。ありがとうございます」

 怖いいい、を隠してにっこり接客しました。


 その一週間後、パッケージが変わってプレミアが付いたとある23年ものラム酒旧ボトルを持って現れ。

『これ僕の一押し。飲んでみて』と渡され、ぱっと帰られました。

 そう、別に口説かれたりはしていないのです。

 でも薄気味悪い……。


 その後特に来店もなくほっとしていた頃、その方から電話がかかってきて。

 いま入院してて食事制限もなく、当分退院できそうもないし、仲良くなったみんなで食べたいので商品を送って欲しいとのこと。


「見栄えがするよう、お好きでしたものをホールでお入れしましょうか?」

 私の問いかけに。

「ダメなんだ、包丁は禁止されてるんだよ。ここ精神病院ではね。あらかじめ切っておいて」


 なにやら、部下と妻にはめられて、精神病院に強制的に収容させられてうんぬん……振り込むから振込先を……


 うへええええ。

 取りっぱぐれて自腹切ってもいいから、とにかく急いでお品を送付しました。


 しばらくすると、なんとその方の奥さまから私宛に電話が。

「夫があなたに病院で何通か手紙を書いたので、受け取ってもらえませんか」

 

 さすがにもらいものガールの私も、そんなん、いらねええええ!!!!


 重ねての辞退も虚しく、職場に手紙が一方的に送りつけられてきたので、読む羽目に。

 簡単に要約すると「僕とあなたでお弁当を売るカフェをやりましょう。店の名前は『日月カフェ』。コンセプトは……僕はあれをして、あなたはこれをして」そんな妄想満載の手紙でありました。


 下心は記されてない為、奥さんも送ってきたんだろうけど。

 お願いだからやめてえええ、そこで留めといてよおおお。


 それが原因では全くないんですが、私の諸事情で程なくして職場を移ることに。

 ナチュラルにフェードアウトできました。

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