迷ってもいいじゃない、人間だから。エルフも人間っぽいけど。
- ★★★ Excellent!!!
現代社会の男性が異世界に転生して、エルフ達に拾われる、そう記すとハイ・ファンタジーを想像します。
本作はロー・ファンタジーそのもの。転生した(させられた?)のは、うだつが上がらない男で、転生しても鈍くさく、エルフ達に囲まれても迷ってばかりです。
主人公をひっぱたきたいのではなく親近感が湧くなら、本作はお勧めです。英雄を崇めるのではなく、読んでいる自分や周囲の慎ましく生きる人たちを思い浮かべて、転生という夢のようなイベントも起こってみればありがた迷惑で当人は生きるのに必死だと思えてきます。
ただ、主人公を拾ったエルフ達も人間らしくて…… 神聖と崇められても、神か動物かといえば動物に分類されるエルフですから、寿命が長くとも生きていればこうなるのかもしれません。逆にこちらはギャグとして、読んでいて顔がニタニタしてきます。
キャッチコピーに「最強よりも最幸を目指します」。
評者は素直にそう思えます。現代社会で苦労した主人公には、異世界で幸せを掴んでほしいです。