読書感想『きみのお金は誰のため』

 すべては愛に帰結する。こんにちは、のっとんです。


 なんだか胡散臭い始まり方ですが、今日は読書感想文です。

 いつもは本の感想をツイートしているのですが、140字では語りきれず、ここに書くことにしました。


 田内学 著『きみのお金は誰のため』を読み終わり、私は小さな失望を感じていました。とても学びの多い本だっただけに「愛する人を見つけよ」というどこにでもある結論にがっかりしたんです。


 この本は経済の本です。ボスと呼ばれる大富豪の老人から、主人公の少年がお金について学びます。

 思えばボスは最初から、お金より大切なものがあると話していました。ただ私は全然信じていなかったんです。


 本の中でという存在を無くした場合、という話が出てきます。

 例えばの話です。3人の人間が居て、Aは林檎を、Bは蜜柑を、Cは苺を持っているとします。AがBに


「林檎と蜜柑を交換してほしい」


とお願いします。Bが了承すれば取引成立です。いわゆる物々交換ですね。

 しかしBが


「苺は欲しいけど、林檎はいらない」


と言ったらどうでしょう? Aは林檎しか持っていない為、取引ができません。2人とも欲しいものを手に入れられないのです。

 そこでCの登場です。


「Cは林檎が欲しいから、それぞれ譲ろう」


CからBへ苺を、BからAへ蜜柑を、AからCへ林檎をそれぞれ譲ると、誰も損をしません。2人ずつ見ると果物の譲渡でしかない状況も、巡り巡って取引は成立するわけです。

 これを世界規模でやっているのが今の経済です。物体であったりサービスであったり、我々はモノとモノを譲渡しあって生きています。


 ただこれ3人だと自分が損をしていないと分かるんですが、世界規模だとちょっと不安ですよね。そこでお金が出てくるんです。お金という何でも交換可能なモノを介して、我々は取引しているんです。


 で、その巡り巡ってんだよね、ってのを感じる為には視野の広さ、俯瞰する力が必要なんです。

 じゃあどうしたら、より高い所から見えるんだろう? ここまで考えてようやく自分にも理解できました。その方法が「愛する人を見つける」なんです。


 人を愛することで、その人の取引も見えるようになるんです。自分と誰か、2人分の取引じゃなく3人分の取引が分かる。その範囲を広げることで、さらに大きな流れが見えるようになるんだと思います。


 悔しいですが、お金の流れを知るならボスが言う「愛する人を見つける」に帰結するんですよね。

 そしてこの取引はモノとお金だけじゃなく、優しさみたいなもんも同じだと思います。価値を信じなければ使えないお金というモノではなく、目に見えずとも譲ることのできる優しさもまた、巡り巡ってるんじゃないでしょうか。

 そうだといいなぁ、と思ったところでこの話は終わりにしたいと思います。

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