成長
小鳥は窓にぶつかって羽を折ってしまったので塀と家の間の狭い空ばかり見ていました。鳥の本分(得意なこと)である、飛ぶことを取り上げられた小鳥は蛇から、ムカデから逃げるにも命からがら。かけっこで一等賞を取れるくらいには頑張って逃げました。
その時自分の才能に気がつきました。ホントは僕、ダチョウなんじゃないかな。と、思ったくらいです。
だけど、ときたま青空を駆けていた頃を思い出しては泣いています。涙が羽に落ちて青くなるくらい泣いていました。
走って、走って今度は足が折れました。今度こそ蛇の餌になるのか、と悲しみと恐怖の間で必死に空を忘れた羽根で羽ばたこうと頑張っていました。フレームの歪んだバイクじゃうまく走れないように飛んでもすぐに落ちてしまいます。
だけど鳥は、(鳥はもうすでに小鳥ではなくなっていました。中くらいの鳥です。)また自分の得意なことを見つけました。飛ぶのは下手だけど風に乗るのはとびきりうまかったのです。
ビュンビュン飛んで、大きくなるにつれて飛ぶのも段々、前よりずっとうまくなりました。足も元通りになり、鳥を小馬鹿にして笑う動物なんてもういません。勝てる奴を探す方が難しいくらいです。
そうして蛇に食べられることなく、逆に蛇を食べてしまえるくらいになった鳥は立派に大きな隼となりました。
崖っぷちにはいい風が吹いていて青空を切り裂くように隼は羽ばたきました。誰も追いつけない速さです。
それこそ一眼レフのたっかい高いカメラじゃないといけないくらい。
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