ザマァシティへようこそ〜勇者転生した筈が、駄女神の手違いで、俺の体、死んでました!?ザマァするたびレベルアップする世界樹の守護神ポジションを与えられ、概念として生きて世界を救います!多分。〜

陰陽@4作品商業化(コミカライズ・書籍・

第1話 手違いで体がないらしい

「それで……どういうことだ。」

「まあ、ちょっとした手違い?

 のようなものだ……。」


 目の前の美しい駄女神、ミリスはそう言って目線を反らした。背中までの長い金髪、豊満な体をスリットのある白いドレスに包んでいて、ムチッとした太ももが覗いている。


 俺、四條拓哉は、先ほど、異世界転生を果たしたばかりの元学生だ。


 この世界の女神、ミリスにチートなスキルを与えて貰い、世界を救う勇者となる定めを背負った……筈だった。


 ミリスに貰ったスキルはまさにチートそのものだった。


 物を収納出来る、異空間収納。


 眷族にした相手の経験値を吸うことが出来る、経験値吸収。


 自分や他人の感覚を味合わせることの出来る、感覚共有。


 薬、料理、酒、はては武器防具の作成や建築までおこなえる、処方箋。


 自身や他人のステータスや、スキルまでもを一時的に強化出来る、全能強化。


 強弱を逆転する、革命。


 体を相手と入れ替える、魂交換。


 条件はあるが望んだスキルを作成出来る、スキル作成。


 そして自分のスキルを眷族に貸すことの出来る、スキル貸与。


 異世界の物を取り寄せる事の出来る、アイテム召喚。


 などなど。

 どれも魅力的で使えるスキルだ。

 これで無敵の軍勢を作ってやるぜ!と意気込んで、いざこの世界に降り立ったものの。


 ──なぜか俺の入るべき体がなかった。

 駄女神いわく、死んでいる状態で、魂を入れることが出来ないらしい。


「どうすんだよ、体がなくて。」

「まずは、その……。概念として?

 神として生きてもらう。」

「概念?神?」


「この世界には世界樹というものがあるのだが、今瘴気を減らすのに力を使いすぎて、レベル1まで戻ってしまっているのだ。」

「まさかそれを、俺に育てろと?」


「勇者は12英傑を味方にすることが出来るのだ。おぬしが選んだ英傑が、この世界の悪しき者を滅ぼすたびに、世界樹は成長する。さすれば体が手に入るであろう。」


「面倒くせえな……。てか、なんで俺を選んだんだ。勇者ってんなら、もっとそれらしい性格の奴らがいただろ。言っとくが俺はお世辞にも性格がいいとは言えねえぜ?

 なんなら世界を救う?そんなつもりも微塵もない。面白そうならやる。それだけだ。」


「そ、それは、その……。」

「ん?」

 ミリスに顔を近付けると、真っ赤になって目線を反らしてくる。ははーん……。


「お前、最初から俺に、体与えるつもりがなかったな?神?だっけか?それにならせるつもりだったんだろ。

 神ならお前の横に並び立てるもんな。」


「なっ!ちっ、違う!

 そんなつもりは!」

 ミリスが焦って訂正する。

「いや、バレバレだっつうの。」


 はっきりいって、俺はモテる。目付きが悪く、悪人ヅラであるという自覚があるが、それを除けば顔がいいほうに分類される。


 そういうタイプがとにかく好き、という人種が一定数存在することにより、通常よりもかなり熱烈に好かれることだって多い。


「ようするにお前、俺がタイプなんだな。」

「違うと申しておろう!」

「あー。はいはい。そういうのいいから。

 それで?元の世界には帰れんの?」


「それは無理だ……。

 おぬしの体は既にあちらで死んでおる。」

「あっそ。じゃあここで頑張るしかないわけね。まあいい。好きにやらせてもらうさ。」


 俺はミリスにたくされた世界樹のある市、ザマァシティのステータスを確認する。


〈エリアステータス〉

名称:ザマァシティ

面積:150キロ平方メートル

人口:人族285,976人、獣人13,547人、エルフ3,596人、魔族562人

世界樹:レベル1


 割りとデカい市だな。

 俺のドレ──駄女神いわく、王さまが魔王に取って代わられ、この国の人間たちは、それを誰も知らないのだそうだ。


 単位がキロ平方メートルなのは、俺に合わせてのことらしい。まあフィートだインチだと、換算しにくい単位でなくて良かったが。


 さて、12英傑か……。

 どいつをそれにするか……。

 俺は顎に手を当てて、地上の人間たちをじっくりと監視した。


「あーん。寝返りをうっただけなのに〜。」

「宿屋、倒壊したんだが?」


 ふむ、いいのがいるじゃないか。

 ますはこいつに決めた!


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