№44 「大魔縁」

「魔縁」とは鴉天狗のような姿の妖怪のことだが

「大魔縁」とは天狗たちの首魁であり、

怨霊となった崇徳上皇のことを指す。


崇徳上皇は保元の乱に敗れ、流罪となった讃岐の地で

謝罪の意を示そうと意として写経を行い、京都の寺に納めようとしたが、朝廷に受け取りを拒否され激怒。


舌を噛み切り、その血で

「日本国の大魔縁となり、

皇を取って民とし、民を皇となさん」

「この経を魔界に回向す」

と写本に書き込み、魔道に堕ちた。


「雨月物語」の一編「白峯」では、

崇徳上皇の怨霊と弔いに現れた僧・西行が

対峙するシーンが描かれているが、


「相模坊」と呼ばれる

ドチャクソかっこよくて悪そうな

鴉天狗も登場する。


崇徳天皇は100年ごとの式年祭前後には

必ず、国家レベルの災いを引き起こしてきた

祟り神だとみなされているが、


歴代の天皇たちは

崇徳上皇の御霊と真摯に向き合い、

畏れ敬ってきた。

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