第28話 アナスタシア王女視点2
「力づくでも私はこの国を変えたい。ベルトラン、力を貸してくれますか?」
弟のベルクのためにもこの国を力づくで変えなければならないと思い、私は側近のベルトランにその想いを口にしました。
彼は私の言葉を聞くとすべてを悟り、仲間を集めるために秘密裏に動いてくれました。
まず国家転覆に必要なのは、父上を正常な判断ができないくらいの窮地に追い込むこと。そして邪魔者のバルタスを処分した後、父上を退位させ、私が王位に就くのです。そんな計画を2人で話し合いました。
その後、怠惰な貴族を王都から締め出すことも視野に入れました。近代的な生活にかまけ、農民や騎士団、魔術師団の上に立ちながらのうのうと生きている貴族たち。この国が堕落した原因の一つだと私たちは考えていたのでした。
いずれにせよ、セデリアを変えるには一刻も早く国家転覆計画を遂行しなければなりません。そのためにも利用できるものは全て利用しなければいけないでしょう。
そうした中で私が注目したのがカガ・ダイスケ様でした。
ベルトランの偵察によると、ダイスケ様は魔獣のいない世界を望んでいると聞きます。それはつまり現状の王国を変えなければいけないと思っているし、魔人国を滅ぼしたいと思っているということです。本当にそこまで望んでいるのなら私に協力してくれるでしょう。
私はそこで策を講じました。窮地に陥った王都にダイスケ様が率いる異種族の軍勢を迎え入れ、英雄に仕立て上げ父上を退位させるのです。
幸いなことに、ダイスケ様の近くにいる人物たちは私の意向に沿って動いていただける可能性がございます。クラリス、ドロシー、イリスをはじめ、騎士団や魔術師団の方々も、私の言葉に耳を傾けてくださるものと存じます。
さらには国家転覆した後、ダイスケ様や周辺の人物たちをそのまま王都の上層部に引き上げれば一気にこの国は若返ることができるでしょう。
これらの計画を滞りなく進めるためにもベルトランと相談して王都の住民にある噂も流しておきました。これで住民も味方に付くはずです。
ダイスケ様の口癖は「平穏に暮らしたい」ですが、その言葉の裏には何かあると思っていました。そうでなくても、ダイスケ様と協力しないという選択肢はないでしょう。
ベルトランは計画の遂行を容易にするために北方の辺境貴族ヴェルター家と協力する作戦を考えました。この地域はこのセデリア王国の中でゲイブランド魔人国に最も近い領地です。
このモンタリュ・ヴェルター辺境伯は昔からゲイブランドとの緊張関係で疲弊していると聞きます。ついには魔人国に降伏する準備をしていると噂すら出ていました。
私たちはその動きを利用させてもらいました。具体的にはヴェルター領を魔人軍に通過させ、意図的に王都を攻撃させる作戦です。
こちらは「裏切っても一切制裁は加えないことを約束する。ゲイブランド軍を王都に導けば報酬も支払う」と言ったらモンタリュ伯爵は簡単に裏切りました。
「アナスタシア殿下、本当に良いのですか」
「ええ、今すぐセデリア王国を裏切っていただけますか?こちらは国家転覆のため王都を強襲します」
モンタリュ伯爵は、密会の場で私たちの計画に驚かれたご様子でした。
しかしここまでやらないと父上は動かないのです。これは私と国民の正義の鉄槌、そしてベルクのためです。
この程度の策略で、ゲイブランド魔人国がどれほどの兵力を王都攻略に割くのかは分かりません。しかし、全力でなくとも一部分の魔人軍は王都攻略へと向かうでしょう。
これがうまくいけば一筋のチャンスが私に舞い込んできます。あとはダイスケ様を味方につけ、王都を救えば女王の座は目前です。
念のためこの話は魔術師団の副長ドロシーと騎士団の副長クラリスにも話を通しておきました。あの二人さえ説得できれば、魔術師団と騎士団もこちらの意図通りに動かすことができるでしょう。
聞けば二人もダイスケ様が同じような企みをしているのではないかと言っていました。もしそうだとしたら話は早いです。
そしてついに私は計画を説明するためにダイスケ様に会いに行きました。
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